1999 Fiscal Year Annual Research Report
糖原病III型の遺伝子変異と組織特異的発現に関する研究
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11670807
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
大久保 実 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員 (60241238)
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Keywords | 糖原病III型 / 脱分枝酵素 / 遺伝子変異 / 組織特異的発現 |
Research Abstract |
糖原病III型(GSDIII)はグリコーゲン脱分枝酵素(AGL)の遺伝的欠損症で、臓器に異常グリコーゲンが沈着し、多彩な臨床症状を呈する代謝疾患である。私達はGSDIII型患者を解析し、日本人のAGL変異について分子遺伝学的な検索を行なっている。今年度はIIIa型患者の遺伝子解析を行ない、グリコーゲン結合部位にミスセンス変異(G1448R)を同定した。 1.この患者は45才の女性で、肝臓と筋肉のAGL活性が欠損しておりIIIa型と診断されていた。両親はいとこである血族結婚の家系である。この患者の肝組織からAGLcDNAを調製し、AGL塩基配列に特異的なシークエンスプライマーを用いて、direct sequencingにより塩基配列を決定した。その結果、エクソン26に含まれる3737番目の塩基のG→C変異と、エクソン33に含まれる4742番目の塩基のG→C変異の二つの変異を同定した。これは共にグリシンをアルギニンに置換するミスセンス変異であった(G1115R,G1448R)。制限酵素多型を利用して健常人を対象にこの二つの点変異をスクリーニングすると、健常人にG1115Rのホモ接合体が見つかったことからG1115Rはpolymorphismであることが判明した。一方、G1448Rは患者以外には見つからず、この変異がAGL活性を失わせる原因であると考えられた。患者はG1448Rのホモ接合体であった。 2.ヒト、ウサギ、酵母などの異なる種におけるAGLcDNAをホモロジー検索すると、蛋白のC末端にグリコーゲン結合部位が想定された。本研究で同部位にG1448R変異を同定したことはこの仮説を支持する所見であった。
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