1999 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血を使ったジルベール症の遺伝子解析とモデル動物による小脳発育障害機構の解明
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11670811
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
慶野 宏臣 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 室長 (30090426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 祥子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 助手
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Keywords | Bilirubin / Gilberts / Glucuronosyltransferase / Neuroglycan C / NGC / Cerebellum / Purkinje cell / Rat |
Research Abstract |
愛知医科大学産婦人科浅井医師の協力を得て臍帯血を入手することができ、直ちにDNAを分離し冷凍貯蔵した。添付されたデータと照合し、血中ビリルビン値が上昇した子供について第1次検討対象とした。エクソン部分と調節領域の塩基配列を検討したところ、様々な突然変異の組み合わせが出現し、統一的な結論は得られなかった。この結果の一部をふまえてCrigler-Najjar Type I、Type II、Gilberts syndromeの遺伝子解析結果を遺伝子治療開発研究ハンドブックに紹介した。 Gunnラットでは、小脳のビリルビン感受期は生後7日であり、プルキンエ細胞がビリルビン標的細胞と推測されている。小脳発育障害機構を解析するために、生後7日前後に存在状態が変化する物質に注目した。その候補の一つが脳特異的糖タンパク質Neuroglycan C(NGC)である。NGCはEGF like domainを持ち、細胞内にはリン酸化サイトがあり、情報伝達機能を担っている可能性がある。また、NGCはプルキンエ細胞で発現し、小脳発育に伴った変化が見られる。生後7日ラット小脳のNGCは糖鎖を持ち、主としてプルキンエ細胞体に分布する。生後10日以降糖鎖を持つNGCは減少して、成獣では糖鎖を持つNGCは存在しなくなる。成獣ラット小脳のNGCは主として樹状突起の主幹に存在するhypolemmal cisternaに分布する。新生仔期のプルキンエ細胞体、成獣の樹状突起主幹は共に登上繊維とシナプス形成する場所である。これらのことから、プルキンエ細胞の分化や機能維持にNGCが深く関与していることが推測された。共同研究によりNGCの遺伝子解析も進み、genomic DNAの構造、3種類のisoformの存在、染色体上での位置が確定された。これらの結果はJ.Bio1.Chem.に掲載された。
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[Publications] S. Aono, H. Keino et al.: "Genomic organization and expression pattern of mouse neuroglycan C in the cerebellar development"The Journal of Biological Chemistry. 275, 1. 337-342 (2000)
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[Publications] 慶野宏臣 他: "遺伝子治療開発研究ハンドブック"日本遺伝子治療学会. 1061 (1999)