2000 Fiscal Year Annual Research Report
角化細胞におけるIL-18の産生,遊離機序,IL-18受容体の研究
Project/Area Number |
11670812
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小泉 洋子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60113552)
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Keywords | IL-18 / 乾癬 / 角化細胞 / 皮膚 |
Research Abstract |
IL-18はリンパ球からIFN-γを誘導するサイトカインである.乾癬などの炎症性皮膚疾患への関与が注目される.乾癬では患部でTh1リンパ球が産生するIFN-γが,角化細胞にICAM-1,HLA-DRを発現させる.IFN-γを遊離する刺激として,スーパーアンチゲンなどが考えられているが,角化細胞が外力等による障害を受け生成する物質も与っていると考える.IL-18の角化細胞からの産生機序の解明は乾癬における角化細胞の重要性を検討するうえで意味がある.そこで正常ヒト皮膚,疾患皮膚,培養表皮角化細胞でのIL-18およびIL-18受容体の発現について検索し,血中レベルをELISA法で測定した.活性型IL-18に対するモノクロナル抗体の他に,非活性型IL-18,未熟型IL-18に対するモノクロナル抗体,ポリクロナル抗IL-18受容体抗体を大阪成人病センター瀬谷司部長から供与を受けた.正常ヒト皮膚ではいずれのIL-18,IL-18受容体共に基底層から角層直下まで角化細胞に発現していることが免疫組織学的に確認された.免疫ブロット法により培養角化細胞は3種のIL-18,IL-18受容体を発現していた.またRt-PCR法によっても角化細胞はIL-18を生成していることが示された.TPA刺激によりIL-18蛋白,mRNAいずれもその発現が増強した.乾癬は表皮肥厚,顆粒層の消失があり,角化細胞の増殖,分化が亢進している.乾癬でのIL-18,IL-18受容体の発現は正常皮膚と同様パターンであった.TPA刺激角化細胞は乾癬表皮と類似した性質を示すことが確かめられており,IL-18の産生が亢進している可能性があり,今後研究を進めたい.正常ヒトと比較して乾癬患者末梢血中のIL-12,IL-18は高値であった.IL-18は乾癬病態において有為なサイトカインであることが示唆された.
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[Publications] Sato-Mat umura KC: "Membranous expression of annexin I is enhanced by calcium and TPA in calfared human keratinocytes "Arch Dermatol Res. (印刷中). (2000)
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[Publications] 植木宏明: "皮膚科専門医テキスト"南江堂(印刷中). (2000)