2000 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入による色素細胞Cキナーゼ分子種の機能解析
Project/Area Number |
11670830
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡 昌宏 神戸大学, 医学部, 助手 (30252761)
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Keywords | Cキナーゼ / アデノウイルスベクター / メラニン / 黒色腫 |
Research Abstract |
私共が既に色素細胞に発現するCキナーゼ(PKC)分子種として明らかにしていたα,β,δ,ε,ζ分子種に対するアデノウイルスベクターを作製した。さらに、メラニン生成に影響を与える可能性のあるphosphatidylinositol 3-kinase(PI 3-kinase)のconstitutive active体、dominant negative体、およびPI 3-kinaseの下流に位置するとされる酵素Aktのconstitutive active体に対するアデノウイルスベクターをそれぞれ作製した。これらのアデノウイルスベクターを用いて以下の事項を明らかにした。 1.悪性黒色腫細胞株G361、MeWoを用いて、情報変換酵素ホスホリパーゼD(PLD)の活性化機構を検討し、TPAによるPLD活性化はα分子種のwild typeまたはkinase negative typeの過剰発現により著明に亢進することを見い出し、PLD活性化はPKCのα分子種により制御されうることを示した。 2.メラニン生成能を有する悪性黒色腫細胞において、PI 3-kinaseまたはAktのconstitutive active体に対するアデノウイルスベクターを発現させるとメラニン生成が抑制され、PI 3-kinaseのdominant negative体に対するアデノウイルスベクターを発現させると逆にメラニン生成が亢進することを見い出し、メラニン生成経路においてPI 3-kinase/Akt経路が関与していることを直接的に示した。 3.メラノーマに対する免疫遺伝子療法の基礎研究として、interleikin-12(IL-12)遺伝子をマウス悪性黒色腫細胞株B16に導入し、抗腫瘍効果の検討を行った。その結果、IL-12遺伝子導入B16細胞の同系マウスにおける腫瘍増殖は強く抑制され、この抑制効果はマウスを抗CD4抗体で処理することにより増強されることを見い出した。抗CD4抗体投与によって、IL-12遺伝子導入B16 melanomaを拒絶するマウスもみられ、そのなかには白斑様の体毛変化をみとめるものも出現した。この現象は、臨床的に認められるメラノーマ関連白斑に相当するものであり、マウスモデルとして有用であると考えられた。
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[Publications] Oka,M.: "Regulation of melanogenesis through phosphatidylinositol 3-kinase-Akt pathway in human G361 melanoma cells."Journal of Investigative Dermatology. 115・4. 699-703 (2000)
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[Publications] Nagai,H.: "Elimination of CD4+T cells enhances antitumor effect of locally secreted interleukin-12 on B16 mouse melanoma and induces vitiligo-like coat color alteration."Journal of Investigative Dermatology. 115・6. 1059-1064 (2000)
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[Publications] Satayamoorthy,K.: "An antisense strategy for inhibition of human melanoma growth targets the growth factor pleiotrophin."Pigment Cell Research. 13・Supplement8. 87-93 (2000)
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[Publications] Araki,K.: "Small GTPase Rab3A is associated with melanosomes in melanoma cells."Pigment Cell Research. 13・5. 332-336 (2000)