2000 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚アレルギー疾患における神経とマスト細胞の相互作用とその制御
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11670832
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秀 道広 広島大学, 医学部, 講師 (50284188)
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Keywords | ニューロペプチド / サブスタンスP / 皮膚 / マスト細胞 / LTB4 / TNFα / ヒスタミン / ステロイド |
Research Abstract |
マウス骨髄由来マスト細胞を線維芽細胞と共生培養するとサブスタンスPに対する反応性を獲得する。本年度はその培養条件により、ヒスタミン遊離、LTB4遊離、および細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が必ずしも並行せず、またいずれかの一つも必須条件とならないことを証明した。また骨髄由来マスト細胞がサブスタンスPに対する反応性を獲得する過程で、SCFは主にLTB4遊離能をもたらすこと、線維芽細胞はSCF以外の未知の因子を介して選択的にヒスタミン遊離能を付与することを明らかにした。これらの結果から、サブスタンスP刺激によりヒト皮膚マスト細胞から遊離されるメディエーターおよびサイトカインには皮膚の状態による質的および量的違いがあることが示唆されたため、手術材料より得られたヒト皮膚切片を用い、サブスタンスPによるヒスタミン、LTB4およびTNFα遊離について検討した。その結果、ヒスタミン遊離は29例中すべてのドナーの皮膚切片により認められたが、LTB4およびTNFα遊離には個体差が認められ、ヒスタミンは遊離してもLTB4およびTNFα遊離は起こさない皮膚ドナーが存在した。この違いは特にLTB4について大きく、明らかな遊離誘導が認められたのは23例中8例であった。また副腎皮質ステロイドは、ヒスタミンおよび自発的LTB4遊離には影響することなくサブスタンスP刺激反応性のLTB4およびTNFα遊離を抑制した。以上の結果から、皮膚における神経原性炎症にはマスト細胞が介在し、ヒスタミンによる一過性の皮膚反応に続いてLTB4、およびTNFα遊離による慢性炎症へと展開し得るが、その内容は個体によるマスト細胞の反応性の違いが影響を及ぼすことが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 亀好良一,秀道広,山本昇壯: "蕁麻疹と自己免疫"アレルギーの臨床. 20(1). 26-31 (2000)
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[Publications] Okabe T,Hide M,Koro O,Yamamoto S: "Substance P induces tumor necrosis factor α release from human ski via mitogen-activated protein kinase."Eur J Pharmacol. 398. 309-315 (2000)
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[Publications] 秀道広: "蕁麻疹の病態."日本皮膚科学会雑誌. 110. 1824-1826 (2000)
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[Publications] 河合幹雄,秀道広,岡部勉,高路修,山本昇壯,高橋博之: "UVA領域に作用波長を持つ日光蕁麻疹の1例"西日本皮膚科. 63(3). 298-301 (2000)
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[Publications] 真田聖子,山村有美,秀道広,山本昇壯: "水蕁麻疹の一例"臨床皮膚科. 42(7). 1023-1026 (2000)
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[Publications] Okabe T, Hide M,Koro O,Niimi N and Yamamoto S: "The release of leukotriene B4 from human skin in response to substance P : Evidence for the functional heterogeneity of human skin mast cells among individuals."Clin Exp Immunol. (in press). (2001)