1999 Fiscal Year Annual Research Report
アラキドン酸カスケードの皮膚悪性腫瘍の発生と進展への関与に関する研究
Project/Area Number |
11670840
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金蔵 拓郎 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70177509)
|
Keywords | アラキドン酸カスケード / 皮膚癌 / サイクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
アラキドン酸カスケードのヒト皮膚悪性腫瘍の進展における役割を、ヒト皮膚扁平上皮癌(HSC-5)とエクリン汗腺癌(EcCa)の樹立細胞株及びコントロールとして不死化非腫瘍性ケラチノサイト細胞株(HaCaT)を用いて検討した。 まず最初に、アラキドン酸カスケードの主要最終産物であるプロスタグランジンE2の産生量をRIA法で測定し、皮膚癌細胞で産生量が有意に上昇していることを見い出した。そこで、プロスタグランジンE2産生にあずかる酵素である、細胞質フォスフォリパーゼA_2(cPLA_2)、サイクロオキシゲナーゼ(COX)-1、COX-2の発現をウェスタンブロット法で観察した所、cPLA_2とCOX-1の発現に変化は見られなかったが、COX-2の発現が皮膚癌細胞株ではコントロールに比較して有意に上昇していることがわかった。 次に、COX-2の選択的活性阻害剤であるNS398の細胞増殖に及ぼす影響をMTT法を用いて観察した。NS398で処理するとHSC-5の増殖は有意に抑制され、EcCaも増殖が抑制される傾向にあることがわかった。更に、COX-2のアンチセンスオリゴヌクレオチド鎖をトランスフェクトしCOX-2の発現を抑えると、癌細胞の増殖は活性阻害剤よりも強く抑制されることを明らかにした。 以上の結果は、皮膚癌ではCOX-2の発現が恒常的に亢進しており癌細胞の増殖に促進的に作用していること、COX-2の活性阻害より発現抑制がより大きな癌細胞増殖抑制効果を発揮することを示している。 現在次年度に向けて、COX-2発現抑制作用を有しヒトへの応用に際して副作用の少ない物質を検討すべく研究を進展中である。
|
Research Products
(1 results)