2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670847
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
宮川 幸子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30094626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山科 幸夫 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70210432)
熊谷 俊一 神戸大学, 医学部, 教授 (00153346)
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Keywords | 天疱瘡 / 類天疱瘡 / 尋常性天疱瘡 / 落葉状天疱瘡 / HLA class II遺伝子 / デスモグレイン3 / デスモグレイン1 |
Research Abstract |
1 水疱性類天疱瘡(BP)症例23例のHLA-DR/DQ genotypingの結果,日本人ではBPの疾患感受性とHLA-DR/DQハプロタイプDRB1^*04(^*0403,^*0406)/DQB1^*0302とDRB1^*1101/DQB1^*0302,およびこれらのハプロタイプを構成する個々のアレルDRB1^*1101,DQB1^*0302との相関が明らかになった.この結果は,DQB1^*0301との強い相関を示す過去の欧米からの報告とは異なる。われわれのデータおよびこれまでの白人におけるデータから,BPに対する疾患感受性の遺伝的背景として,HLA-DRB1 β-chainの可変領域のアミノ酸の荷電(26,67位疎水性;70,71位親水性)の重要性が示唆される. 2 天疱瘡症例50例(尋常性天疱瘡35例,落葉状天疱瘡15例)のTAP(transporter associated with antigen processing)遺伝子多型性解析では,両型の天疱瘡患者群ともに正常コントロールと比較して有意の偏りはみられなかった.従って,デスモグレインに対する免疫応答のMHC class II遺伝子による強い拘束性は,TAP遺伝子領域には及んでいないことが明らかになった. 3 天疱瘡症例51例(尋常性天疱瘡31例,落葉状天疱瘡20例)についてHLA-A,B,C,DRB1,DQB1遺伝子解析により次の結果が得られた:HLA-B^*1507などアジア人に特有のHLA-B 15 familyのアレルが,正常人と比較して尋常性天疱瘡群で有意に高頻度であった.このHLA-B^*15の増加は,尋常性天疱瘡疾患感受性と強い相関を示すDRB1^*04またはDRB1^*14とは連鎖していなかった.HLA-A,-Cアレルの頻度は,両型の天疱瘡患者群ともに正常コントロールと差がみられなかった. 以上の結果から,尋常性天疱瘡発症の遺伝的背景は,HLA class II DR/DQ遺伝子(またはその領域の他の遺伝子)が主な役割を担っていると考える.落葉状天疱瘡および水疱性類天疱瘡では,尋常性天疱瘡ほどのHLA-DR/DQ遺伝子との強い相関はみられない.
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