2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670856
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
荒金 兆典 近畿大学, 医学部, 講師 (40232045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 晃 近畿大学, 医学部, 講師 (00319708)
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Keywords | CD95リガンド(CD95L) / 中波長紫外線(UVB) / アポトーシス / CD95(Fas / APO-1) / β-カテニン / メラノーマ / 基底細胞癌 |
Research Abstract |
本研究は、中波長紫外線(ultraviolet B light ; UVB)による表皮細胞のアポトーシスを解析する研究として計画された。その理論的背景として1)UVBは、皮膚有棘細胞癌(squamous cell carcinoma ; SCC)、基底細胞癌(basal cell carcinoma ; BCC)など非メラノーマ性皮膚悪性新生物など表皮細胞の発癌を誘発する1次的な原因であること、2)UVBは皮膚構成細胞(有棘細胞、基底細胞、メラノサイト(色素細胞))などをアポトーシスにより効率よく細胞死に陥れる環境刺激であるという点があげられる。本研究補助金の申請期間中の研究成果としては、まずCD95(Fas/APO-1)というアポトーシス誘導因子に着目しメラノーマ細胞におけるアポトーシス誘導能に関し検討した(Aragane et al. J Invest Dermatol 2000;115:1008-1014)。我々はこの研究費を申請する前の予備研究の時点で、メラノーマは悪性度を増し臨床的に進展すると、その表面にCD95リガンド(CD95L/APO-1L/FasL)というアポトーシス誘導リガンドを表現することを報告している(Maeda et al. Br J Dermatol 1998;139:198-206)。よってCD95Lの受容体であるCD95をメラノーマ細胞に強制発現させメラノーマ細胞を自動的にアポトーシス細胞死に陥れることは論理的整合性を持つと考えられる。上記のMaedaらの報告により、メラノーマが悪性転化の度合いを強めるにつれCD95L蛋白の表現を強めてゆくことが明らかになったものの、単一のメラノーマがその進行につれCD95Lの表現能を獲得するという報告は報告されていなかった。そこで、我々はこの科学研究補助金の期間中にその点に関して報告した(Maeda et al. J Dermatol 2001;28:499-504)。 上記の研究においてUVBによる表皮細胞のアポトーシスに関する以前の知見(Aragane et al. J Cell Biol 1998;140:171-182)を用い、CD95蛋白の強制発現が有用であるというという点が明らかになった。さらに我々は表皮に出来る紫外線発癌の産物であると考えられているBCCの発癌のメカニズムを検討した。そこで、β-cateninという細胞内情報伝達因子に着目した。β-cateninはWntシグナル系の下流に位置する情報伝達分子でその分子異常はメラノーマや大腸癌の発生に関与することが以前報告されていた。そこで、BCC検体、SCC検体、あるいはアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬患者よりえた検体を用い検討したところ、β-cateninがBCCにおいてのみ情報伝達因子として機能し、その他の場合では細胞間接着に関与することを明らかにした(Yamazaki et al. Br J Dermatol 2001;145:771-777)。今後さらに、治療応用に向け検討してゆきたいと考える。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 荒金兆典ほか5名: "Inhibition of growth of melanoma cells by CD95 (Fas/APO-1) gene transfer in vivo"Journal of Investigative Dermatology. 115. 1008-1014 (2000)
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[Publications] 荒金兆典ほか5名: "Disseminatd scleroderma successfully treated with bath PUVA phtochemotherapy"Journal of Cutaneous Medicine and Surgery. 5. 135-139 (2000)
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[Publications] 荒金兆典: "サイトカイン産生の調節機構"日本皮膚科学会雑誌. 110. 963-968 (2000)
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[Publications] 前田 晃ほか5名: "A case of acral lentiginous melanoma : the correlation between CD95L expression on melanoma cells and apoptosis of tumor infiltrating lymphocutes"Journal of Dermatology. 28. 499-504 (2001)
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[Publications] 荒金兆典他3名: "Immunohistochemical detection for nuclear β-catenin in sporadic basal cell carcinoma"British Journal of Dermatology. 145. 771-777 (2001)
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[Publications] 荒金兆典他7名: "Overactivation of IL-4-induced activator protein-1 in atopic dermatitis"Journal of Dermatological Science 2002. (印刷中).
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[Publications] 荒金兆典(分担): "皮膚免疫学ハンドブック"中外医学社. 238 (1999)