1999 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光spectroscopyを用いた頭頚部癌の非侵襲的酸素状態評価
Project/Area Number |
11670859
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
真里谷 靖 弘前大学, 医学部・付属病院, 講師 (20239148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 秀哉 弘前大学, 医学部, 助手 (30241483)
阿部 由直 弘前大学, 医学部, 教授 (10167950)
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Keywords | 近赤外光(NIR) / 酸素状態 / 頭頚部腫瘍 / 正常組織 |
Research Abstract |
頭頚部正常組織および頭頚部腫瘍を対象に、近赤外光spectroscopyによる酸素状態評価を行った。パラメータとしてoxy-Hb(mg/ml tissue)を用い、正常組織は、頭頚部皮膚(上・中・下頚部、頤下部、頬部)および口腔粘膜(頬部、口腔底、舌)を測定点とした。頭頚部腫瘍は、原発巣(口腔癌6例、中咽頭癌1例)ないし転移巣(下咽頭、甲状腺癌各1例、中咽頭癌1例、耳下腺癌1例)につき検討した。また、上記部位のoxy-Hb値と末梢血Hb、動脈血酸素分圧を比較した。この結果、正常組織(28例)のoxy-Hbの平均値は、上、中、下頚部皮膚で、各々1.7、1.5、1.1、頤下および頬部皮膚で、各々2.0、1.4、頬、口腔底、舌粘膜で、各々7.5、4.8,2.3であった。このうち頬粘膜の値が最も高く、かつ変異係数が小さく、正常組織酸素状態の測定点として最適と考えられた。Oxy-Hbは粘膜で高く皮膚で低い傾向を示したが、重層扁平上皮の厚さや性状が異なることが原因と考えられた。頬粘膜のoxy-Hbは、動脈血酸素分圧や抹消血Hbとある程度相関したが有意ではなかった。一方、口腔(6例)および中咽頭癌原発巣(1例)のoxy-Hbは、各々2.8〜3.7、2.6〜3.2、0.8〜0.9、0.2〜0.25、0.1〜0.4、0〜0.1,1.6〜7.4であった。転移巣(4例)では、oxy-Hbは各々0.9〜1.9、0.2〜0.3、0〜0.5、0〜0.1であった。腫瘍組織のoxy-Hbは全般に低かったが、その値は頬粘膜oxy-Hb、抹消血Hbないし動脈血酸素分圧と必ずしも相関せず、腫瘍自体の酸素状態評価が必須と考えられた。非侵襲的な本法により、正常組織あるいは腫瘍組織の酸素状態を臨床的に評価することが可能となった。放射線治療抵抗性腫瘍を克服する上で、重要な意義を持つ評価法であると考えられた。
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