検出能を改良したフィッシュ法による放射線抵抗性癌の染色体解析と治療法選択への応用

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11670869
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 伊東 久夫 千葉大学, 医学部, 教授 (20095574)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 安田 茂雄 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (20251176) ; 高野 英行 千葉大学, 医学部, 講師 (40197116) ; 宇野 隆 千葉大学, 医学部, 講師 (30302540) ; 茂松 直之 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (30178868) ; 原 竜介 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (50312939)
• Keywords: FISH法 / 染色体変異 / 放射線感受性 / カリクレインA / リンパ球

Research Abstract

従来の遺伝子解析では、M期に細胞を同調して解析してきたが、効率が極めて悪く十分な成果が期待できなかった。また、形態の変化を指標とした場合、変異遺伝子の検出も感度が低く、これも遺伝子解析の妨げとなっていた。本研究はカリクレインAを用いて遺伝子を濃縮し、M期以外の細胞からも染色体を解析でする手技と、特定の染色体を抗体を用いて蛍光染色する手技により、遺伝子変異を解析する方法を確立することを第一の目的とした。第二は、放射線照射が行われた正常細胞と癌細胞にこの方法を適応し、放射線照射前後の染色体変異を比較検討して、放射線感受性に関連する染色体変異を解明し、放射線低抗性癌の解析に役立たせることを目的とした。本年度は膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、食道癌より確立された培養細胞の放射線感受性をColony法により検討し、細胞の放射線感受性と染色体異常の基礎資料を作成した。Do値で約2倍放射線感受性の異なる培養細胞を明らかにした。染色体解析の基礎的検討として、正常なヒトと放射線治療の行われたヒトの末梢血からリンパ球を採取して、リンパ球を分離後培養し、上記の方法で放射線照射後のリンパ球における染色体変異を検討した。抗体を用いて蛍光染色で検討したのは、染色体はNo.1と2である。その結果、染色体1,2における変異の発現は、ほぼ線量依存性に増加することを確認した。また、No.1,2染色体の一部が他の染色体に組み込まれる確立は、正常人における発現と比較した場合、2Gyあたり約10倍になっていた。