1999 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性発現機構と温熱療法における制癌剤増強機構の分子レベルでの解析
Project/Area Number |
11670890
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川崎 祥二 岡山大学, 医学部, 教授 (20034952)
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Keywords | アドリアマイシン / 多剤耐性 / アントシアニジン / P-gp / Caイオン / Calcein / p53 / WAF1 |
Research Abstract |
Ehrlich腹水癌細胞の親株とアドリアマイシン耐性株細胞の両者を用いて、細胞内へのアドリアマイシンの細胞内取り込みに対するアントシアニジンの効果を観察しその作用が細胞内Ca^<2+>イオンの濃度と密接に関連していることを明らかにした。 一方、calceinは親株では急速に取り込まれるが耐性細胞では取り込まれない。このことは親株には存在しないが耐性細胞に存在する流出機構あるいは流入機構の阻害機構があることが考えられる。細胞内に取り込まれたcalceinの排泄速度は親株、耐性細胞共に同じである。このことは両細胞とも同じ排泄システムを持っていると考えられる。アドリアマイシンの排泄に関与するP-gpはcalcein-AMを細胞内から排泄するがcalceinは排出しない。しかしながら、calceinはMRPかMOATでは排出される。それ故、Ehrlich腹水癌細胞では親株、耐性細胞ともにp-gp以外にMRPとMOATのような他の排泄機構があることが考えられた。アドリアマイシン耐性細胞では親株に比し細胞内に取り込まれたアドリアマイシンの約20%多く排泄する。このことから、アドリアマイシンの排泄機構はcalceinの排泄機構と異なっていることが示唆されている。 一方、細胞の制癌剤、放射線、温熱等外的刺激に対する様々な分子レベルの反応を検討する目的で示す。細胞の反応としてPKCや癌抑制遺伝子p53の産生が誘導される。p53の産生は細胞周期と密接に関連しており、DNA合成開始前4時間に多量産生された。また、WAF-1遺伝子の産生も細胞周期と関連しており、DNA合成開始4-6時間にarrest pointがあるることが示唆された。
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