1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670894
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川元 健二 九州大学, 医学部, 講師 (00253427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 尚 国立九州医療センター, 医師
平賀 聖久 九州大学, 医学部, 医員
井野 彰浩 九州大学, 医学部, 助手 (50294947)
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Keywords | 粘膜下腫瘍 / 超音波内視鏡ガイド下 / 穿刺吸引細胞診 / 穿刺吸引組織診 / 腫瘍診断 / 悪性度評価 |
Research Abstract |
消化管粘膜下腫瘍の良・悪性鑑別法の確立をめざし,まず平成11年度においては,超音波内視鏡ガイド下に粘膜下腫瘍を安全かつ確実に穿刺吸引し,組織学的,免疫組織学的,および染色体分析を行うに十分な量の細胞片もしくは組織片を得るために,穿刺針の選択および改良開発を行ってきた.市販ベースの穿刺針はFine Needle Aspiration Cytology(FNAC)用のオリンパス社製NA-10J-1(22G),Fine Needle Aspiration Biopsy(FNAB)用のHakko社製内視鏡下吸引生検針エンド・ソノプシー(21G)を用いた.症例数が少ないため,対象は消化管粘膜下腫瘍および粘膜下腫瘍様の縦隔腫瘤とし,計24例に対して穿刺を行った.前者は14例で,その内訳は食道3例,胃9例,十二指腸2例で,後者は10例であった.NA-10J-1を用いてFNACを試みた症例数は全例であり,組織採取率は粘膜下腫瘍で57..1%,縦隔腫瘤では80.0%であった.FNACで採取可能であった検体はパパニコロー,ギムザ両染色を行い,非上皮性腫瘍に対してのみ免疫染色を追加した.粘膜下腫瘍のFNAC診断は平滑筋腫6例,他2例で,正診率88%,縦隔腫瘤は肺癌6例,他2例で,正診率100%であった.組織採取率が粘膜下腫瘍で低かった原因として,腫瘤の硬さ,穿刺時の可動性などが挙げられた.FNABを試みた症例数は3例であり,その内訳は粘膜下腫瘍1例と縦隔腫瘤2例であり,組織採取可能であったものは縦隔腫瘤1例(肺癌)のみであった.現時点で,FNABで得られた組織は癌組織のみであり,十分な組織採取可能な穿刺針の改良に取り組んでいる.癌の診断は微量の組織量しか得られないFNACでも十分可能だが,非上皮性腫瘍(筋原性あるいは神経原性腫瘍など)ではFNABで十分な組織を採取する必要がある.今後は,十分な組織量を採取可能にするための穿刺針を含めた穿刺技術の早期確立に取り組んでいく予定である.
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