2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670894
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川元 健二 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (00253427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 聖久 九州大学, 医学部・附属病院, 助手
井野 彰浩 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50294947)
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Keywords | 粘膜下腫瘍 / 超音波内視鏡ガイド下 / 穿刺吸引細胞診 / 穿刺吸引組織診 / 腫瘍診断 / 悪性度評価 |
Research Abstract |
平成11年度の本研究では、日常の臨床材料を用いて、超音波内視鏡ガイド下に消化管粘膜下腫瘍あるいは粘膜下腫瘍様の縦隔腫瘤を対象に、安全かつ確実に穿刺する方法の確立と、採取された細胞片および組織片の病理学的および免疫組織学的検討を行ったが、平成11年度までの組織採取率が粘膜下腫瘍で57.1%、縦隔腫瘤で80.0%であり、特に前者で極めて低いことが次年度への課題として残った。平成12年度では穿刺吸引方法と穿刺針自体の改良を行い、組織採取率の向上に努めた。 平成12年度までに本法を施行した全症例の臓器別内訳は粘膜下腫瘍20例(食道5例、胃12例、十二指腸3例)、消化管外腫瘤13例(縦隔10例、膵臓1例、骨盤内2例)で、計33例である。このうち、平成12年度のみの症例は粘膜下腫瘍は6例(食道3例、胃2例、十二指腸1例、)、消化管外腫瘤は4例(縦隔1例、膵臓1例、骨盤内2例)であった。穿刺針は平成11年度まで使用したFine Needle Aspiration Cytology(FNAC)用のオリンパス社製NA-10J-1,Fine Needle Aspiration Biopsy(FNAB)用の八光社製エンドソノプシーに加えて、平成12年度はFNAB用のCOOK社製ECHO TIPを使用。平成12年度のみの粘膜下腫瘍のFNAC組織採取率、正診率は各々5/6例(83.3%)、5/5例(100%)であり、消化管外腫瘤のそれは各々4/4例(100%)、4/4例(100%)であった。一方、粘膜下腫瘍のFNABの組織採取率および正診率は3/6例(50%)、3/3例(100%)、消化管外腫瘤のそれは2/3例(66.7%)、2/2例(100%)であった。平成12年度の粘膜下腫瘍の組織採取率はFNACとFNABを併せて全体で90%、消化管外腫瘤の組織採取率は全体で100%であった。平成11年度までのFNACの組織採取率は粘膜下腫瘍で57.1%、消化管外腫瘤で80%で、FNABの採取率は粘膜下腫瘍で0%、消化管外腫瘤で50%であったことから、今年度の採取率に飛躍的な向上がみられた。その原因として、技術操作の向上(針先端が確認しやすくなったことによる狙撃性の向上)が主因と考えられる。また2例に使用したECHO TIP針が、他針と比較して、組織採取率が極めて高かった(100%)ことも、全体の採取率を上げた要因の一つとして考えられる。また、平成11年度までのFNACの正診率は粘膜下腫瘍88%、消化管外腫瘤100%で、FNABの正診率は各々100%、100%であり、特に12年度のみの正診率と比べ、大きな差はみられなかった。 今年度の穿刺吸引法と穿刺針の改良により、免疫染色まで施行するに十分な細胞量や組織量がとれることがほぼ可能と考えられたので、今後は外科的切除標本での最終診断とと術前病理診断との比較、術前の病理組織学的な良・悪性の鑑別、増殖能やp53の免疫染色の段階に進む予定である。
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