2000 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病の情動症状に関する分子生物学的及び行動薬理学的研究・・・慢性覚醒剤中毒モデルにおける攻撃性不安の増強と興奮性アミノ酸の関連・・・
Project/Area Number |
11670924
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 猛 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (70250438)
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Keywords | 覚醒剤 / 精神分裂病 / 興奮性アミノ酸 / 情動 / 不安 / 攻撃性 |
Research Abstract |
慢性覚醒剤中毒モデルラットの不安行動における内因性グルタミン酸の役割を明らかにする目的で、覚醒剤を投与しないラットに対して、グルタミン酸放出抑制剤であるMS-153を投与し、不安行動の発現に対する影響を検討した。MS-153は用量依存性に恐怖条件付けの獲得過程を抑制し、さらにいったん獲得した不安行動に対しても抑制効果を示した。なお、MS-153の効果は条件付けの3時間前と30分前の投与ではみられたが、24時間前の投与ではみられなかった。したがって、MS-153の効果持続時間は比較的短時間であると考えられた。MS-153を慢性投与するとMS-153の恐怖条件付け獲得過程に対する効果は増強した。これらの結果は、内因性のグルタミン酸の機能を抑制することが不安・恐怖の獲得の抑制につながることを示唆している。覚醒剤はドーパミンをはじめとするモノアミンに対して主たる作用を持つが、当教室のこれまでの検討では、覚醒剤のグルタミン酸に対する作用が行動感作を惹起することが示されてきた。したがって、グルタミン酸に対する作用を介した不安・攻撃性に対する覚醒剤の影響について、今後MS-153を用いて検討していく。
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