1999 Fiscal Year Annual Research Report
情動障害の病態形成に関与する神経回路網の脳画像学的研究
Project/Area Number |
11670929
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
井田 逸朗 群馬大学, 医学部, 講師 (50251103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨吉 勝美 群馬大学, 医学部, 助手 (60188802)
三國 雅彦 群馬大学, 医学部, 教授 (90060508)
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Keywords | 感情障害 / 視床下部-下垂体-副腎皮質系 / グルココルチコイド受容体 / ポジトロン・エミッション・トモグラフィー / 脳局所糖代謝 |
Research Abstract |
平成11年度研究実績 最近デキサメサゾンおよびコルチコトロピン遊離促進ホルモン併用負荷試験(DEX/CRH試験)が約100例のうつ病患者に行なわれ,約80%の非抑制出現率を得たという報告がなされ,視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系に対するフィードバック機能不全は,感情障害の病態として注目されている。そこで抗うつ薬治療前の大うつ病患者16例を対象にCRH負荷前日23:00にDEX1.0mgを経口投与し,翌日CRH負荷前値測定後13:00にCRH100μgを静脈内投与,以後経時的に採血して血中コルチゾール値を測定,Holsboerらの報告に基づき,5μg/dlを越えたものを非抑制と判定した。従来のDST検査では非抑制者はわずか6.3%で93.7%が抑制であったのに対してDEX/CRH試験では,大うつ病患者の62.5%で非抑制を示し,本疾患のグルココルチコイド受容体機能異常が欧米の報告に一致して高頻度であることが確認された。同時期に18F-フルオロ-デオキシグルコース(FDG)を用いたPET検査を実施し非抑制者・抑制者の脳糖代謝の検討を行ったところ,前頭前野では非抑制者,抑制者共に有意なFDG取込みの低下を示し,海馬を含む側頭葉下部では,非抑制者のみが有意なFDG取込み低下を示した。以上から感情障害におけるグルココルチコイド受容体機能異常と海馬近傍領域での糖代謝低下の関連が示唆する新知見が得られた。
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