1999 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病の発症と病態に関連する神経伝達物質受容体遺伝子の解析
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11670932
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
車地 暁生 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00251504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 明子 東京医科歯科大学, 医学部, 技官 (40210992)
吉川 武男 理科学研究所, 脳科学総合研究所, チームリーダー (30249958)
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Keywords | 精神分裂病 / 神経伝達物質 / 遺伝子 / 遺伝子多型 / 関連研究 / 末梢型ベンゾジアゼピン受容体 / ミスセンス変異 / PCR |
Research Abstract |
精神分裂病患者の末梢血から抽出したDNAを用いて、末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子の解析を行った。PCR法によってそのタンパク翻訳領域であるエキソン2、3と4をそれぞれ増幅し、DNAの配列を調べたところ、ふたつのミスセンス変異を検出した。このHis162AlaとAla147Threの変異に関して、分裂病群304例と対照群369例について解析を行ったが、いずれの変異に関しても、その遺伝子ならびに遺伝子型の頻度において、両群間に有意な差はみられなかった。このほか、感情障害患者群193例についても解析したが、分裂病患者と同様に、その頻度は対照群と有意な差はみられなかった。また、エキソン1ならびにそのプロモーター(1kb)のDNA配列を解析したが、変異や多型は見いだせなかった。 神経発達において重要な機能を果している神経細胞接着分子(NCAM)のひとつであるNCAM-L1の遺伝子についても、同様にその遺伝子配列を解析した。今までのところ3種類の多型がみつかったが、ひとつは18エキソンに、その他はイントロン11とイントロン25に位置していた。このNCAM-L1の遺伝子は、X染色体上にあることから、男性の分裂病患者168例とその対照群126例について解析したが、イントロン25の変異に関しては、分裂病群で有意にその頻度が多く、分裂病との関連が示唆された。しかしながら、エキソン18とイントロン11の変異に関しては、両群との間に有意な差は認められなかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 車地暁生: "分裂病:ドーパミン仮説"脳の科学. 21. 1129-1134 (1999)
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[Publications] 車地暁生、西川徹: "精神分裂病のグルタミン酸仮説"Psychoses. 5(3). 41-44 (1999)
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[Publications] 安藤久美子、太田克也、車地暁生他: "特有な幻聴が持続する有機溶剤乱用の1例"精神科学. 41(7). 747-750 (1999)
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[Publications] A.Kurumaji,H.Nomoto,T.Yoshikawa et al: "An association study between two missense veriations of the benzodiazepins receptor for (perpheral) Gene and schizophrenia in a Japanese sample"Journal of Neural.Transmission. (in press).
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[Publications] 車地暁生、黒田友子、吉川武男: "チロシン水酸化酵素遺伝子第一イントロンの多型性と感情障害との問題研究"脳と精神の医学. (印刷中).
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[Publications] 車地暁生: "神経発達障害仮説からみた精神分裂病の病因と予防"臨床精神医学. (印刷中).
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[Publications] 車地暁生: "精神薬理学 融道男ら編 臨床精神医学講座 第24巻 精神医学研究方法"中山書店. 219-232 (1999)