1999 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠障害における過眠症の脳内機構を検討するための覚醒調節機構の基礎的研究
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11670934
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本多 和樹 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (70173656)
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Keywords | 睡眠・覚醒調節 / ドーパミン / ノンレム睡眠 / レム睡眠 / オレキシン / ナルコレプシー |
Research Abstract |
睡眠は覚醒系の抑制により出現するとされる仮説を検証するために,脳内ドーパミン・システムの覚醒維持機構への役割を中心に実験を進めている。すでにイヌ・ナルコレプシーを用いた実験では脳内ドーパミン・システムが覚醒調節に関与する新知見を報告したが,イヌ・ナルコレプシーにおいてオレキシン受容体2の遺伝子変異が報告されたことから,脳内ドーパミン調節系の示す覚醒レベルの制御に対するオレキシンの役割が重要となってきた。オレキシンニューロンは視床下部外側部から中脳のドーパミン・システムへ強い神経投射を有しており,脳内におけるオレキシンとドーパミン・システムの覚醒調節機構への関与が示唆される。今年度は,正常雄ラットを用い人工脊髄液に溶かしたドーパミン受容体作動薬の投与に加え,脳内ドーパミン調節系の働きを修飾すると考えられるオレキシンの投与から,覚醒,ノンレム睡眠及びレム睡眠の各睡眠パラメータにおよぼす薬剤の効果を検討し覚醒効果の解析を試みている。ドーパミン受容体作動薬の覚醒調節機構への役割についての詳細は脳波周波数解析結果を含め現在解析中であるが,オレキシンの正常雄ラット第三脳室内連続注入実験からは,オレキシン単独投与で強い覚醒作用を有することが判明した。オレキシン受容体2の遺伝子変異のある,イヌ・ナルコレプシーにおいてドーパミン受容体作動薬の投与で脳波上の覚醒レベルが調節されることが判明していることから,オレキシンがドーパミン・システムを調節している可能性は高い。次年度は,ドーパミン受容体作動薬の覚醒作用様式を引き続き検討するため,中脳のドーパミン起始核への薬剤投与を行うが,加えてドーパミンの神経終末部位におけるドーパミンの放出と脳波の関連およびオレキシン投与における覚醒効果についてドーパミン受容体作動薬と組合せて投与することで脳内覚醒維持機構について統合的に解析するつもりである。
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Research Products
(1 results)