2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性モデル動物のペプチド受容体遺伝子解析によるてんかんの分子生物学的異常の解明
Project/Area Number |
11670941
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
増井 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80190346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良斉 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70303766)
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Keywords | てんかん / 動物モデル / 自発性けいれん発作 / ニューロペプチドY / 受容体 / 海馬 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
平成11年度において、14週齢NER(全般発作出現時期)におけるNPY様免疫活性の上昇とNPYmRNAの歯状回での発現増強を確認した。平成12年度においてはNERを用い、発作後NPYおよびNPY受容体のサブタイプ(Y1、Y2)受容体の変化を検討した。さらに、Y2受容体をmRNAの遺伝子配列およびアミノ酸配列についても検討した。 NERは当施設において飼育・繁殖し、自発性けいれん発作が出現することを確認したのを用いた。対照としては、Wistar:Crj系ラットを用いた。7週齢、14週齢NERを発作後0、4、12時間で断頭し(各群N=4)、背側海馬を含む20μmの脳冠状断切片を作成した。NPYmRNA、Y1およびY2受容体mRNAの発現の同定は、それぞれに相補的なアンチセンスDNAプローブを用い、in situハイブリダイゼーション法に行なった。受容体結合部位の同定には、^<125>Iでラベルした各受容体に特異的なアゴニストを用いた。 14週齢NER海馬におけるY2mRNAは、歯状回において顕著に増強しており、また、苔状繊維とシナプスを形成するhilusにおいて、Y2受容体結合の増強を認めた。このことは、発作出現に伴い抑制性であるNPY神経系が動員された結果と考えられる。一方、Y1受容体については、mRNAの発現、Y1受容体結合とも経時的な変化は認めず、発作後一過性の低下を認めた他の実験てんかんモデルとは異なった結果であった。このことは、NERが約24時間周期で自発性けいれんを発症するメカニズムと関連する可能性があり、興味深い所見である。 Y2受容体遺伝子解析の結果、第58番目のCがTに、第747番目のCがTにそれぞれ置換されており、受容体タンパク質のアミノ酸配列では、20番目のロイシンがフェニルアラニンに、266番目のスレオニンがメチオニンにそれぞれ置換されていることが明かとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takahashi,Y.,Tsunashima,K.,Sadamatsu,M.,Schwarzer,S.,Amano,S., Ihara,N.,Sasa,M.,Kato,N.,Sperk,G.: "Altered hippocampal expression of neuropeptide Y, somatostatin, and glutamate Decarboxylase in Ihara's epileptic rat and spontaneously epileptic rat."Neuroscience Letters. 287. 105-108 (2000)