1999 Fiscal Year Annual Research Report
健常老人333名の17年間脳画像追跡第7次調査研究・脳の老化と痴呆の発症過程
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11670967
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
笠原 洋勇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60056950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 達郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10287261)
高梨 葉子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90266643)
忽滑谷 和孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00218257)
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Keywords | 健常老人脳 / 追跡研究 / 画像 / ベントン視覚記銘検査 / MWTV / CMI / 海馬 / 痴呆 |
Research Abstract |
アルツハイマー型痴呆がかなり早期におこりはじめ、具体的に臨床症状を呈するまでに一定の時間があることはあまり知られていない。痴呆の原因については、あらゆる方面から研究されているが、特にアルツハイマー型痴呆については不明の点が多い。そこで地域で健康な生活を送っている老人133名に協力いただき、1982年より脳画像を中心とする追跡調査を実施している。第2次調査は1986年、第3次調査は1989年、第4次調査は1992年、第5次調査は1994年、第6次調査は1996〜1998年、第7次調査は1999〜2000年に行った。第1,2次調査はCT、脳波、ベントン視覚記銘テストを用いた。第3〜7次調査はCTをMRIに変え、他の検査は第1次,第2次と同様とした。T_2高信号病変(T_2HSI)は全体では69.5%に認められ、加齢とともに増加した。1989年の第3次調査のMRI所見はT_2HSIの出現部位は基底核61.9%、視床39.0%、頭頂葉37.0%、側頭葉12.7%、橋部8.5%であった。これら病変の内T_1強調像で低信号を示すlacunar infarction(LI)は24.6%に認められ、上記同様に加齢とともに増加した。脳室周囲の高信号域(PVH)は38.1%に見られ、やはり加齢に伴って増加した。一定基準に従って判定した脳の萎縮も含めて、これらの所見は年齢との間に深い関係が見られた。この第3次調査の健常者118名の10年後の1999年の時点での追跡結果をみると、追跡可能であった108名中痴呆は17名(15.7%)、死亡20名(18.5%)であり、不明は10名(8.5%)であった。痴呆と非痴呆に群別し、両者を判別関数を用いて係数の高い順に並べると、第3脳室の最大径0.503、頭頂のT_2HSI0.436、PVH0.295、Ponsの萎縮0.280、であり、ベントン視覚記銘テスト正確数は-0.193であった。また死亡群と生存群に分けて両者を比較すると、PonsのT_2HSI0.629、ベントン誤数0.584、シリビウス裂の拡大0.384、小脳の萎縮0.319、視床のlacunar infarction0.290であった。アルツハイマー型痴呆は側頭葉内側部から病変が拡大し、側頭葉、頭頂葉に至ること、第3脳室の最大径に変化が見られることを考えると臨床的に意義のある所見と考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 笠原洋勇: "リスクファクターの意味するもの"臨床精神医学. 28巻10号. 1193-1198 (1999)
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[Publications] 笠原洋勇: "うつ病の不安焦燥への対策"CNS tody II,不安障害,感情障害,睡眠障害の基礎から臨床まで. 32-43 (1999)
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[Publications] 笠原洋勇: "画像による健常老人脳の経時的変化-10年間の追跡調査-"東京慈恵会医科大学雑誌. 113巻5号. 343-365 (1998)
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[Publications] 笠原洋勇: "無症候性脳梗塞と痴呆"カレントテラピー. 15巻2号. 76-81 (1997)
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[Publications] 笠原洋勇: "健常老人脳の10年間画像追跡中に発症した痴呆に関する研究:痴呆の臨床の指標について"社会精神医学研究所紀要. 25巻1号. 9-6 (1996)
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[Publications] Hiroo Kasahara: "MRI study of the brain in elderly volunteers; T_2 high intensity lesions and higher-order cortical functions"Psychiatry and Clinical Neurosciences. Vol49No6. 273-279 (1995)
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[Publications] Hiroo Kasahara, Kazuo Hasegawa: "Vascular dementia"Neuroimaging and the psychiatry of late life(Ames, D, & chiu E. ed) Cambridge University Press. 23 (1997)
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[Publications] 笠原洋勇: "器質・症状性精神障害,痴呆・慢性器質性障害"中山書店. 23 (1997)