2001 Fiscal Year Annual Research Report
Parkinson病原因遺伝子産物NACPによる神経細胞変性の免疫細胞化学的研究
Project/Area Number |
11670972
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization of Medical Research |
Principal Investigator |
中村 美奈子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (40124482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 洋子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員
上田 健治 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員 (90261180)
|
Keywords | パーキンソン病 / 神経突起変性 / 神経細胞死 / NACP / シヌクレイン / コンフォーメーション病 / 封入体形成 / 線維凝集 |
Research Abstract |
水溶性シナプス前タンパクであるMCP(α-synuclein)は、細胞内で不溶性となり"NACP線維"(Arima et al. Brain Res,1998)を形成し、Parkinson病,Lewy小体型痴呆,および多系統萎縮症(MSA)を引き起こす.平成13年度は以下の研究と、従来からの研究の総括を行った。 1.Parkinson病のNACP陽性dystrophic neuritesの関する研究 Parkinson病では脳幹諸核と交感神経節の神経突起内に、突起内Lewy小体のほかにNACP免疫反応性の棍棒状あるいは紡錘型の構造物(Lewy neurites、あるいはdystrophic neurites)が形成される。これを免疫組織化学と免疫電顕により検索し、以下の結果を得た。 (1)定型的な突起内Lewy小体よりも、不均質な免疫反応性を示し、径が細く、屈曲することの多いdystrophic neuritesが数多く認められた。 (2)dystrophic neuritesはanti-ubiquitin, anti-cdk5, anti-alpha-tubulin, anti-beta-tubulinなどの抗体に陽性で、免疫組織化学的には突起内Lewy小体との相違はみられなかった。 (3)dystrophic neuritesの免疫電顕観察では、突起の中央部をNACP線維の網状のランダムな配列が占有し、neurofilamentsは外周部へ排除されていた。 以上から、dystrophic neuritesは、Lewy小体に比べるとNACP線維の量は少ないが、軸索輸送障害など機能障害を引き起こすには十分であると推測される。Parkinson病の神経機能障害の形態学的基盤を評価する上で、重視すべき所見であると考える。
|