1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670979
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本倉 徹 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (00192823)
|
Keywords | 造血器腫瘍 / 細胞周期 / がん抑制遺伝子 / p14ARF / p16INK4a |
Research Abstract |
137例の血液系腫瘍患者検体でのRT-PCRによるINK4A/ARF遺伝子座の発現解析の結果と、臨床所見との関連を解析した.疾患特異的な発現欠損のほかに、発現レベルについても今回興味深い結果が得られた.INK4A遺伝子の高発現は急性白血病などの増殖の早い疾患で多いことが示され、増殖自体と関連していることが示唆された。しかし、INK4Aの発現レベルと予後との関連について臨床的意義を見い出すことはできなかった.一方、ARF遺伝子では、発現レベルの低いびまん性大細胞型リンパ腫例は予後不良で、INK4A/ARF遺伝子座欠失例は予後不良だとするこれまでの報告と一致していた.発現欠損の見られなかったろ胞性リンパ腫では高発現例の予後が有意に不良であった.以上より、INK4A遺伝子とARF遺伝子の発現は同一の遺伝子座にありながら、疾患によって異なった制御を受け、その発現レベル、特にARF遺伝子発現には臨床的意義があることが示された.また一方で、多発性骨髄腫患者よりt(11;14)(q13;q32)に伴うサイクリンD1過剰発現とp53変異を有する細胞株を樹立した.このような例を踏まえて、どのようにINK4A/ARF遺伝子座の欠失やp53遺伝子変異が生ずるのかを明らかにする必要があると考え、c-MYCがん遺伝子の導入に伴ってINK4A/ARF遺伝子座の欠失やp53変異が生じることに着目した.まず、ラット胎児線維芽細胞にc-MYCとRASがん遺伝子を導入する発がんモデルにおいてINK4A/ARF遺伝子座の欠失やp53遺伝子異常が生じることをSouthern解析やPCR-SSCP法で確認した.また、どのような培養条件で遺伝子異常が誘導されるかなどを現在検討中である。
|
-
[Publications] Toshiyasu Taniguchi, et al.: "Expression of p16 ^<INK4A> and p14 ^<ARF> in hematological malignancies"Leukemia. 13. 1760-1769 (1999)
-
[Publications] Yuji Yufu, et al.: "A new multiple myeloma cell line, MEF-1, possesses cyclin D1 overexpression and the p53 mutation"Cancer. 85. 1750-1757 (1999)