1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しいヒト慢性骨髄性白血病モデルマウスの作製とその臨床応用
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11670981
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80312320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宗春 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
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Keywords | p210^<bcr / abl> / トランスジェニックマウス / 急性リンパ球性白血病 / 慢性骨髄性白血病 |
Research Abstract |
われわれはメタロチオネインプロモーターを用いてp210^<bcr/abl>のトランスジェニックマウスを作製した。得られた6匹のファウンダーマウスのうち2匹が急性リンパ球性白血病(ALL)を発症した。ALLマウスは胸腺、脾臓、リンパ節の腫大を呈し、ほとんどすべての臓器に白血病細胞の浸潤が認められた。白血病細胞の浸潤臓器にp210^<bcr/abl>の発現が認められ、発現したp210^<bcr/abl>は高いキナーゼ活性を示した。以上の結果は導入したp210^<bcr/abl>がALLを発症しうることを示すものである。われわれはさらにtec遺伝子のプロモーターをクローニングし、これを用いてp210^<bcr/abl>のトランスジェニックマウスを作製した。その結果、ALLに加えて、慢性骨髄性白血病(CML)の病態を呈するマウスが出現した。ALLマウスは生後3ヶ月で胸腺、脾臓、リンパ節の腫大を呈したのに対して、CMLマウスは生後約1年で脾臓、リンパ節の腫大を呈して死亡した。ALLマウスでは末梢血、胸腺、脾臓は幼若なリンパ芽球により占められていたのに対し、CMLマウスでは末梢血白血球は成熟顆粒球がほとんどを占め、骨髄は著明な顆粒球細胞の過形成を呈し、腫大した脾臓およびリンパ球にも成熟顆粒球の浸潤が認められた。さらに1匹のCMLマウスでは肺に芽球の増殖を認め、髄外性の急性転化の可能性が示唆された。生化学的解析では、ALLマウスでは腫大した胸腺にp210^<bcr/abl>蛋白質の発現を認め、またCMLマウスでは、RT-PCR法にて増殖している末梢血顆粒球中にp210^<bcr/abl>由来のmRNAの発現を認めた。以上の結果は、p210^<bcr/abl>がALLとCMLという臨床的に異なる血液疾患の発症に寄与しうることを示すものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Maki K, Mitani K, Yamagata T, Kurokawa M, Kanda Y, Yazake Y, and Hirai H.: "Transcriptional inhibition of p53 by the MLL/MEN chimeric protein found in myeloid leukemia"Blood. 93. 3216-3224 (1999)
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[Publications] Hirai H, Ogawa S, Kurokawa M, Yazaki Y, and Mitani K.: "Molecular characterization of the genomic brekpoints in a case of t(3;21)(q26;q22)"Genes, Chromosomes, and Cancer. 26. 92-99 (1999)