2000 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞の生存・増殖に関わる骨髄間質細胞由来新規蛋白遺伝子のクローニング
Project/Area Number |
11671004
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
米村 雄士 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (60301371)
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Keywords | 多能性幹細胞 / 骨髄間質細胞 / 皮膚線維芽細胞 / 造血 |
Research Abstract |
我々は造血を支持する骨髄間質細胞と造血作用がないと考えられる皮膚の線維芽細胞からcDNAlibraryを作製し、サブトラクションライブラリーを作製した。このライブラリーよりinsertが1.5kbを越えるものに限って100クローンシークエンスし未知の遺伝子に限り骨髄間質細胞と皮膚の線維芽細胞のtotal RNAを用いてノーザンブロットを行った。その結果1クローンのみが骨髄間質細胞のみに高い発現を示した。皮膚線維芽細胞においては、全く発現は見られず、しかもこの遺伝子のmRNAのサイズは非常に大きいものでノーザンブロットの結果からみると8-9kb程度あると考えられた。この遺伝子は血球系の末梢血リンパ球には発現しているが単球マクロファージ系の細胞には全く発現していなかった。さらに各種の血球系の細胞株においてこの遺伝子の発現をノーザンブロットを用いて行い高い発現を認めた。またこの遺伝子の全長のcDNAを得るために骨髄間質細胞cDNAライブラリーを用いてコロニーハイブリダイゼーションを行ったが、もっとも長いもので2kbのものを得ただけであり、さらにベクターの配列を用いてlongPCRを行ったが5'端の塩基配列を得ることができなかった。しかし、最近Human Genome Projectの進行に伴いほぼHuman Genomeの全配列が明らかとなった。そこでこの遺伝子配列をGenBankのBlastにかけることによりこの遺伝子が12番染色体の上に乗っていることが明らかとなった。今後は血球系の各lineageでの発現をみることが必要である。この遺伝子を発現している細胞は増殖能を有している血球系の細胞であり、骨髄間質細胞とhomomericな相互作用をして造血の維持に関わっている可能性が考えられる。いずれにしてもアミノ酸をコードしている部分の配列がまだ得られておらず、今後はランダムプライマーを用いたcDNAライブラリーを用いたスクリーニングを行う一方、Human Genome Projectで得られた配列が、ランダムな配列の集合体としてのみ公開されているため、この配列の順序がわかり次第、特殊なソフトウェアを用いてcoding sequenceをgenomic sequenceから抜き出すことを考えている。
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[Publications] Shimomura T,Yonemura Y, et al.: "Thrombopoietin stimulates murine Lin-, Sca-1+, c-Kit+, CD34-cells : Comparative study with SCF or IL-3."Int J Hematol. 71. 33-39 (2000)
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[Publications] Ohba T,Yonemura Y, et al.: "Aplastic anemia in pregnancy : Treatment with cyclosporine and granulocyte-colony stimulating factor."Acta Obstericia et Gynecologica Scandinavica. 78. 458-461 (1999)
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[Publications] 米村雄士: "「ニューミレニアムの輸血療法」-考えよう、輸血療法の必要性と安全性トロンボポエチン"真興交易(株)医学出版部(印刷中). (2001)
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[Publications] 米村雄士,松崎博充 他: "産科と婦人科"診断と治療社. 559-562 (1999)