1999 Fiscal Year Annual Research Report
DNA-RNAオリゴヌクレオチド法による先天性血栓性疾患の治療に関する基礎的検討
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11671009
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
辻 肇 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90188532)
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Keywords | オリゴヌクレオチド / 血栓症 / 遺伝子 / アンチトロンビン |
Research Abstract |
先天性アンチトロンビンIII(AT)欠損症のモデルとして、typeI欠損症で、制限酵素切断部位に変異を認めるものをデータベースより選択し、RNA/DNAオリゴヌクレオチド(RDO)によって遺伝子変異を導入することで、HuH-7細胞において同欠損症を作成した。RDOは、Kmiecらの方法に従い、宝酒造に依頼して合成した。即ち、5塩基のDNAの中心に目的とする置換塩基を設定し、両端に10塩基のメチル化RNAを付け、3'側には5塩基対のGCクランプと、更に、それぞれ4つのthimineを介してこれらに相補的なDNAを配列した。RDOの細胞内への導入はQLAGEN社のSuperFect Transfection Reagent(SFTR)を用い、変異導入の有無はTaq Iを用いたPCR-RFLPによってスクリーニングし、direct sequencingによって確認した。また、HuH-7におけるヒトAT mRNAの発現はRT-PCRにて確認した。SFTRを用いたオリゴヌクレコチドの導入効率は約53%であった。PCR-RFLPの結果、48検体中2検体に変異導入が推察され、変異導入が成功したと考えられたサンプルにdirect sequenceを行ったところ、5390番目のcytosineと共にthimineが検出され、目的とした変異導入が確認された。 RDOを用いた遺伝子置換療法は、1996年にKmiecらによって初めて報告され、1998年にはSteerらがin vivoで肝細胞における凝固第IX因子の遺伝子置換に成功し、本法は血友病のみならず、点突然変異を原因とするような各種突発性血栓症の治療にも有用である可能性が示された。今回、ヒトAT遺伝子にも変異を導入することが可能であったことから、本法は先天性AT欠損症の治療法として有用である可能性が示唆された。
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