2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素化合物による白血病細胞のアポトーシス分化誘導の分子制御機構とその臨床応用
Project/Area Number |
11671015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木崎 昌弘 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20161432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00110883)
福地 由美 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40250237)
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Keywords | ヒ素 / 白血病 / 細胞分化 / アポトーシス / 細胞周期 / SCIDマウス / GM-CSF / PML / RARα |
Research Abstract |
ヒ素化合物は急性前骨髄球性白血病(APL)細胞のアポトーシス誘導を介して、実際にレチノイン酸耐性APLにも有効であることが知られ注目されているが、その分子作用機構については明らかでない。ヒ素はレチノイン酸感受性APL細胞株NB4およびレチノイン酸耐性APL細胞株UF-1を細胞周期G1期に停止させ、アポトーシスを誘導する。ウエスタンブロットによる解析では、ヒ素はAPLに特異的なPML/RARαキメラ蛋白を濃度依存性に分解した。現在、その際に抗PML抗体あるいは抗RARα抗体で免疫沈降してくる分子の解析を現在施行中である。さらにヒ素のin vivoでの効果を検討するために、NOD/SCIDマウスを用いて解析したところヒ素単独ではAPL細胞のアポトーシスを誘導した。これに対しヒトGM-CSFを産生するトランスジェニックSCIDマウスを用いての検討ではAPL細胞の分化が誘導された。これらの結果より、in vitroにおいてヒ素化合物とGM-CSFを併用することでNB4細胞、UF-1細胞ともに成熟顆粒球に分化誘導された。この両者の併用による分化誘導機構について検討したところGM-CSFはJak2キナーゼをリン酸化し、活性化することによりヒ素によるアポトーシスシグナルを阻止し、細胞分化を誘導することが明らかになった。これらの結果によりヒ素化合物の臨床応用に際しては、その毒性や発癌性を極力減じるためにも、GM-CSFの併用は効果的と考えられる。今回の検討ではヒ素化合物が結果的にAPLに特異的なPML/RARαキメラ蛋白を分解することで、細胞分化、アポトーシスのシグナルを伝達することが明らかになったが、直接標的とする分子の同定には至らなかった。今後はこれまでの研究成果ふまえDNAチップ等の方法を用いてヒ素化合物の標的遺伝子の単離、機能解析を継続していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kinjo K, et al.: "Arsenic trioxide (As_2 O_3) -induced apoptosis and differentiation in retinoic acid-resistant acute promyelocytic leukemia model in hGM-CSF-producing transgenic SCID mice"Leukemia. 14(3). 431-438 (2000)
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[Publications] Yamato K, et al: "Dissociation of bone morphogenetic protein-mediated growth arrest and apoptosis of mouse B cells by HPV-16 E6/E7."Exp.Cell Res.. 257(1). 198-205 (2000)
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[Publications] Kawamura C. et al: "Bone morphogenetic protein (BHP) -2 induces apoptosis in human myeloma cells with modulation of STAT3."Blood. 96(6). 2005-2011 (2000)
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[Publications] Fukuchi Y, et al: "Mcl-1, an early-induction molecule, modulates activin A-induced apoptosis and differentiation of CML cells."Oncogene. (in press).
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[Publications] Kizahi M: "Molecular targets for hamatological malignances and cancer"Y Niho. 198 (2000)
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[Publications] Kizahi M: "Cell therapy"Y.Ikeda, J.Hata, S.Koyasu, Y.Kawakami and Y.Hattori. 240 (2000)