1999 Fiscal Year Annual Research Report
好中球系細胞の成熟過程におけるアスパラギン結合型糖鎖の生物学的役割に関する研究
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11671020
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
三砂 將裕 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (30157474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
塚田 順一 産業医科大学, 医学部, 助手 (20227367)
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Keywords | アスパラギン結合型糖鎖 / 好中球成熟 / スワンソニン / デオキシノジリマイシン |
Research Abstract |
アスパラギン結合型糖鎖の阻害剤であるswainsonine及びN-butyl deoxynojirimycin(NB-DNJ)は、哺乳類細胞においてそれぞれhybrid型、high mannose型糖蛋白を蓄積させる。好中球成熟過程における不完全糖鎖の影響を調べるために、ヒト非付着性骨髄単核細胞をG-CSFの存在下、非存在下でそれらの糖鎖合成阻害剤とともに培養した。G-CSF単独では骨髄好中球系細胞の増殖と成熟が刺激されたが、阻害剤の添加により成熟好中球数が減少した。Swainsonineは、G-CSF存在下あるいは非存在下のいづれの条件でもアポトーシスを誘導しなかったが、NB-DNJは、G-CSFの存在下で著明にアポトーシスを誘導した。これらの結果から、swainsonineによる成熟好中球数の減少は細胞障害によるものではなく成熟抑制が主体であり、NB-DNJの場合には細胞障害と成熟抑制の両方の原因が考えられた。また、G-CSFは好中球最終分化のマーカーとしてのG-CSF受容体と好中球特異的転写因子CCAAT/enhancer binding protein εのmRNAの発現をup-regulateしたが、swainsonine及びNB-DNJIはその効果を抑制した。以上の結果は、不完全なアスパラギン結合型糖鎖は好中球の最終成熟を抑制することを示唆した。 これらの成績はBBRC 269(1)、219-225、2000に掲載された。今後、更にヒト白血病細胞株(HL60)の分化成熟におけるアスパラギン結合型糖鎖阻害剤の影響を観察し、分化に必須な遺伝子の探索を予定している。
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