1999 Fiscal Year Annual Research Report
腎疾患に対する抗接着分子療法の臨床応用に関する基礎的検討-硫酸化オリゴ糖の抗セレクチン剤としての有用性-
Project/Area Number |
11671036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
四方 賢一 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (00243452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 光 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (70284099)
肥田 和之 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
和田 淳 岡山大学, 医学部, 助手 (30294408)
土山 芳徳 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 糸球体腎炎 / 接着分子 / セレクチン / オリゴ糖 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
糸球体腎炎の新しい治療法として抗接着分子療法を開発するために、セレクチン阻害薬の腎炎抑制効果を基礎的に検討した。セレクチン阻害薬として硫酸化ヒアルロン酸(SHA)を用いた。モデルとしてWKYラットに抗糸球体基底膜抗体を投与することによる半月体形成性糸球体腎炎モデルとThy1抗体を投与することによるメサンギウム増殖性糸球体腎炎モデルを用いた。まず、基礎的検討として、両モデルにおける抗P-セレクチン抗体、抗L-セレクチン抗体の腎炎抑制効果を検討したところ抗P-セレクチン抗体によって腎組織へのマクロファージ浸潤の抑制効果と蛋白尿減少効果が認められ、腎組織へのマクロファージの浸潤にP-セレクチンが関与していることが明らかになった。SHAのP-及びL-セレクチンのリガンドに対する結合に対する阻害効果をin vitroで検討したところ、SHAが両者を阻害することが明らかになった。そこで、両モデルラットにSHAを投与して腎炎抑制効果を検討した。その結果、両モデルにおいて、SHAの投与により蛋白尿の減少効果が認められ、さらに組織学的に、腎組織へのマクロファージの浸潤の減少と半月体形成の減少が認められた。以上の結果から、糸球体腎炎の進展にマクロファージの浸潤が重要な役割を果たしていること、糸球体へのマクロファージの浸潤にP-セレクチンが関与していること、硫酸化ヒアルロン酸がP-セレクチンの結合を阻害することによって腎組織へのマクロファージの浸潤を抑制して糸球体腎炎の進展を抑制する効果を示すことが明らかになった。今後、投与経路や副作用に関する検討を行う予定であるが、SHAは糸球体腎炎の治療薬として有用であると考えられる。
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[Publications] Shikata Y et al.: "Integrins mediate the inhibitory effect of focal adhesion on angiotensin II-induced p44/42 mitogen-activated protein (MAP) kinase activity in human mesangial cells"Biochem Biophys Res Commun. 261. 820-823 (1999)
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[Publications] 四方賢一 他: "糸球体腎炎に対する抗接着分子療法の可能性"医学のあゆみ. 190. 95-104 (1999)
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[Publications] 四方賢一 他: "腎臓における白血球浸潤の分子機構"Organ Biology. 6. 19-28 (1999)