1999 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドホルモンによるナトリウム輸送体の制御:核を介する作用と介さない作用
Project/Area Number |
11671043
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 講師 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江幡 理 自治医科大学, 医学部, 助手 (70265247)
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Keywords | アルドステロン / 血管平滑筋細胞 / 細胞内pH / Na / H交換輸送体 / Cキナーゼ / 細胞骨格 |
Research Abstract |
正常ラット胸部大動脈より単離、培養した血管平滑筋細胞を用い、aldosterone(Ald)のNa/H交換輸送体活性(NHE)への作用とその細胞内機序を検討した。細胞内pH(pHi)はpH感受性蛍光色素であるBCECF/AMを用い、NHE活性は細胞内酸性化後のNa依存性pHi回復速度(dpHi/dt)によって評価した。Ald(1μM)を投与すると、3時間後、24時間後いずれにおいてもpHiおよびNHE活性の増加を認めた。蛋白合成阻害薬であるcycloheximide、mRNA転写阻害薬であるactinomycin D、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬のspironolactone、グルココルチコイド受容体(GR)拮抗薬のRU38486はいずれもAldの24時間後のNHE活性刺激作用を抑制したが、3時間後の作用には全く影響を与えなかった。protein kinase C(PKC)の阻害薬(staurosporine、calphostin C)やphorbol ester(PMA)の24時間投与によるPKC枯渇状態ではAldの3時間、24時間後のNHE活性刺激作用はいずれも抑制された。PKC活性化薬のPMAを3時間単独投与すると、Ald3時間投与後と同様NHE活性亢進を認めた。Ald投与後5分をピークとしてPKC活性の約4倍の増加を示した。Ald3時間後のNHE活性刺激作用はmicrotubuleの破壊薬のcolchicine、actin filamentの破壊薬のcytochalacine Bによって抑制された。NHE(NHE-1)mRNAレベルはAld投与3時間後では不変であったが、24時間後では3倍に増加した。以上より、1)Ald投与3時間後のNHE活性亢進作用は核を介さない機序(non-genomic mechanism)、Ald投与24時間後のNHE活性亢進作用は核を介する機序(genomic mechanism)、によって起こる;2)Ald投与3時間後のNHE活性亢進作用はPKCの活性化、細胞骨格系(microtubule及びactin filament)を介して起こる;3)Ald投与24時間後のNHE活性亢進作用はPKCの活性化とMR及びGRを介して起こる、ことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)