2001 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドホルモンによるナトリウム輸送体の制御:核を介する作用と介さない作用
Project/Area Number |
11671043
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 講師 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江幡 理 自治医科大学, 医学部, 助手 (70265247)
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Keywords | ミネラルコルチコイド / Naチャネル / Kチャネル / Naポンプ / 細胞内Na / 膜間クロストーク |
Research Abstract |
正常(対照)およびmineralocorticoid(desoxycorticosterone acetate、DOCA)を慢性に投与したウサギ腎からCCDを単離し、管腔側を14mMのNaを含む溶液で灌流後、管腔側Na濃度を10倍の147mMに増加させた時の集合管細胞のNa、K輸送体の変動を微小電極法とケーブル解析を駆使して解析した。2群のCCDで、経上皮電位(Vt)および血管側膜電位(Vb)の急激な過分極とそれに引き続く緩やかな脱分極を認め、過分極相では経上皮コンダクタンス(Gt)の増加と管腔側膜分画抵抗(fRa)の減少を伴っていた。DOCA投与群では対照に比し、Vtの過分極の程度、Gtの増加の程度、fRaの減少の程度が著明であったが、Vbの過分極の程度は不変であった。さらに、2群で管腔側膜Naチャネル活性、Kチャネル活性の増加と血管側膜Naポンプ活性の増加を認め、これはDOCA投与群で増強した。また、細胞内Na濃度の増加も認め、増加の程度はDOCA投与群で顕著であった。さらに、2群で管腔側膜を介したNa、K輸送に対する駆動力の増加を認めたが、2群で有意差はなかった。血管側にKチャネルの阻害薬のBaを前処置後、管腔側のNa濃度を増加させると、対照ではVt、Vbの過分極の程度はBa投与前と不変であったが、DOCA投与群ではVt、Vbの過分極の程度はBa投与前に比し増大し、Gtの増加が一部抑制された。脱分極相ではVt、Vb、Gt、fRaはゆっくりとに元のレベルに戻った。以上より、管腔側Na濃度の増加により、管腔側膜Naチャネル活性とKチャネル活性、血管側膜Naポンプ活性の増加が連動して起こり、これはDOCA投与群で増強されることが明らかとなった。同時に、管腔側膜を介したNa、K輸送に対する駆動力の増加も認めたが、2群で差はなかった。また、DOCA投与群では血管側膜のNaポンプ活性増大により、血管側膜のKチャネルが活性化され、細胞内への内向きK電流が増加することも判明した。
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