1999 Fiscal Year Annual Research Report
非可逆性糸球体障害を誘導する糸球体上皮細胞の細胞動態に関する研究
Project/Area Number |
11671046
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
御手洗 哲也 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50101374)
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Keywords | podocyte / 細胞骨格 / 抗リン酸化vimentin抗体 / 尿中podocyte / IgA腎症 |
Research Abstract |
非可逆性糸球体硬化病変の形成には糸球体上皮細胞(podocyte)の剥離・脱落が重要な役割を果たす。本研究は細胞骨格成分、細胞接着分子、細胞周期関連蛋白などの発現状況から、進行性糸球体障害を早期に予測し得るpodocyteの細胞動態を明らかにする。本年度はヒト腎生検組織と腎疾患で尿中に脱落したpodocyteを用いて検討した。腎生検組織はIgA腎症と巣状糸球体硬化症を用い、細胞骨格成分としてpodocyteに強く発現している中間径フィラメントのvimentinに着目し、細胞分裂期マーカーであるcdc2dependent kinaseによってリン酸化されたvimentinを特異的に認識する抗体を用いて、腎組織上で細胞分裂期にあるpodocyteを凍結切片を用いた蛍光抗体間接法にて観察した。抗リン酸化vimentin抗体をtexas redで、podocyteのマーカーとして抗podokaryxine抗体をCy5で、抗IV型collagenα5鎖抗体をFITCでラベルして3重染色を行ない、共焦点顕微鏡で観察することで糸球体基底膜外側にあるpodocyteを区別する方法が有用であった。その結果、組織障害の強いIgA腎症では一部のpodocyteで細胞分裂期にあることが推察された。同様に、尿中に脱落したpodocyteについては、培養糸球体上皮細胞を用いて染色条件を決定した。尿中脱落細胞を用い、cdc2 dependent kinaseによるリン酸化vimentinに特異的な抗体と抗podokaryxine抗体の2重染色を試みたが、尿中podocyteが必ずしも細胞分裂期にあるとは言えなかった。現在、細胞骨格関連蛋白として抗vinculin抗体、抗Zo-1抗体、細胞接着蛋白としては抗α3-integrin抗体を用いた細胞動態の変化について検討を始めた。
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