2000 Fiscal Year Annual Research Report
非可逆性糸球体障害を誘導する糸球体上皮細胞の細胞動態に関する研究
Project/Area Number |
11671046
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
御手洗 哲也 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50101374)
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Keywords | podocyte / 細胞骨格 / 抗リン酸化vimentin抗体 / IgA腎症 |
Research Abstract |
非可逆性糸球体硬化病変の形成には糸球体上皮細胞(podocyte)の剥離・脱落に起因する係蹄構築の破壊が重要と思われる。本研究では細胞骨格成分であるvimentinのリン酸化部位特異抗体(cdc2dependent kinaseにより抗リン酸化さたvimentinを認識)が、細胞周期の分裂期のマーカーになる.ことを利用して、podocyteの細胞動態の変化を解析してきた。昨年度までの研究において腎生検組織と患者の尿中に脱落したpodocyteの細胞動態を検討してきたが、組織障害の強いIgA腎症では一部のpodocyteで細胞分裂期にあることが推察されたものの、尿中に脱落したpodocyteが必ずしも細胞分裂期にあるとは言えなかった。本年度は、進行性糸球体障害を早期に予測できるようなpodocyteの細胞動態を明らかにする目的で、IgA臀症患者の腎生検材料を用い、抗IV型collagen抗体を使用して糸球体基底膜の内側と外側を区別することでpodocyteを同定し、podocyteの細胞動態を検討した。今回は抗Zo-1抗体、抗vinculin抗体、抗JAK3抗体を用いて間接蛍光抗体法にて2重、3重染色を行い、蛍光顕微鏡およびconfocal顕微鏡で観察した。抗Zo-1抗体、抗vinculin抗体については充分な染色条件が確立できず、明らかな結論を導くことは出来なかった。しかし、サイトカインのシグナル伝達に重要なチロシンキナーゼであるJAK3の発現状況を検討したところ、正常ではpodocyteにJAK3やリン酸化vimentinは認められないが、IgA腎症では一部のpodocyteにJAK3やリン酸化vimentinの発現が観察されることが明らかになった。しかし、IgA腎症患者でpodocyteにJAK3の発現が認められる症例と、認められない症例を比較しても、尿中podocyte数に明らかな差は見いだせなかった。
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