2000 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症における糸球体沈着性IgA1の構造解析と沈着機序
Project/Area Number |
11671047
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
比企 能之 名古屋大学, 医学部, 講師 (20156566)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 仁勇 北里大学, 医学部, 助教授 (60050663)
|
Keywords | IgA腎症 / IgA1 / O結合型糖鎖 / 糸球体 / シアル酸 / ガラクトース / N-アセチルガラクトサミン |
Research Abstract |
IgA腎症はIgA1が腎糸球体内に優位に沈着することを特徴とする疾患だが、我々は従来、このヒトIgA1分子が血清蛋白として例外的にそのヒンジ部にO結合型糖鎖を持つ事に注目し、IgA腎症の成因にこのO結合型糖鎖が関与している可能性を想定して検討を加えてきた。 我々は前年度より引き続き、IgA腎症患者の腎生検標本から沈着IgAを分離し、そのヒンジ部を分離後、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計でその分子量を正確に測定することにより糖鎖構造を決定し、その糖鎖構造のばらつき(微小不均一性)の分布を観察した。その結果、主なヒンジ部糖ペプチドのO結合型糖鎖はシアル酸が欠損しており、また、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミンの含有量の低下している事を観察し得た。これらの結果はKidney Internationalに掲載予定である。また、今年度は新たに、この糖鎖不全IgA1が糸球体の組織障害に果たす役割とその機序を検討する目的で糖鎖不全IgA1によるヒト培養メサンギウム細胞の遺伝子発現の変化の解析をcDNAarrayを用いて着手し、条件設定のためのpilot studyはほぼ終えた。また、現在熱凝集IgA1と糖鎖不全IgA1の遺伝子発現に有意な相関が得られてきており、さらなる検討とデータ解析を行う予定である。以上から本症でのIgAの糸球体沈着、さらに腎組織障害の発端にIgA1ヒンジ部O結合型糖鎖の糖鎖不全が関与している事を示唆でき、本年度の検討目的はほぼ達成できたと考えている。 今後は、この糖鎖不全IgA1が腎組織障害に果たす役割とその機序の検討と共に、糖鎖不全IgA1の産生部位とその機序についても検討していきたい。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Odani H et al: "Direct evidence for decreased sialylation and galactosylation of human serum IgA1 Fc O-glycosylated hingepeptides in IgA nephropathy"Biochem.Biophs.Ras.Commum.. 271. 268-274 (2000)
-
[Publications] Iwase H et al: "Analysis of the Microheterogeneity of the IgA1 Hinge glycopeptide Having multiple O-Linked oligosaccharides by capillary electrophoresis"Analytical Biochem.. 288. 22-27 (2001)
-
[Publications] Hiki Y et al : "Mass spectrometry proves under-O-glycosylation of glomerular IgA1 in IgA nephropathy"Kidney Int.. (in press).