2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機アニオントランスポーター安定発現細胞株を用いたセファロリジン腎障害の解明
Project/Area Number |
11671048
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
武田 理夫 杏林大学, 医学部, 講師 (40255401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 仁 杏林大学, 医学部, 教授 (20101115)
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Keywords | 有機アニオントランスポータ / 安定発現細胞 / セファロリジン / セファロスポリン系抗生物質 / 近位尿細管 / 薬物性腎障害 |
Research Abstract |
(1)セファロリジン(CER)による腎障害におけるヒト有機アニオントランスポータ(hOAT)の役割の解明を試みた。hOATとしては近位尿細管基底側に存在するヒトOAT1(hOAT1)、ヒトOAT3(hOAT3)および上皮側に存在するヒトOAT4(hOAT4)を用いた。CERを始めとする種々のセファロスポリン系抗生物質(セファロチン、セファゾリン、セファドロキシル、セフォペラゾン、セファマンドール、セフトリアキソン、セフォタキシム)によりhOAT1、hOAT3、hOAT4による有機アニオン輸送は有意に阻害された。そしてこれらの阻害様式は競合的であった。さらに速度論的解析により算出された基底側のhOATに対するこれらの薬物の阻害定数(Ki値)は臨床血中濃度に相当していた。すなわちヒトにおいて、これらのトランスポータと薬物の相互作用が起こり、薬物が細胞内に取り込まれ腎障害の発症に寄与しうると考えられた。 (2)CER腎障害を抑制することが知られているOATの阻害薬シラスタチン、ベタミプロン、プロベネシドおよびKW-3902の阻害特性を検討した。これらはいずれもhOAT1、hOAT3による有機アニオン輸送を濃度依存的に阻害した。そしてその阻害様式は競合的であった。さらに各薬物のKi値は以下の組み合わせで臨床血中濃度に相当していた。シラスタチンとhOAT3、ベタミプロンとhOAT1、hOAT3およびプロベネシドとhOAT1、h○AT3である。すなわちこれらの阻害薬がin vivoで作用してCER腎障害を阻害する標的hOAT分子が同定された。 さらに、(3)抗腫瘍薬メトトレキセートは非ステロイド性消炎鎮痛薬と腎尿細管での尿中排泄における相互作用により血中濃度上昇をきたし、腎障害性を示す。この相互作用の作用点がhOAT3であることが明らかにされた。
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[Publications] Takeda M et al.: "Regulation by protein kinase C of organic anion transport driven by rat organic anion transporter 3"Life Sciences. 67. 1087-1093 (2000)
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[Publications] Takeda M et al.: "Hydrogen peroxide downregulates human organic anion transporter in the in the basolateral side of the proximal tubule"Life Sciences. 68. 679-687 (2000)
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[Publications] Soejima A et al.: "Role of renal heme oxygenease-1 and glutathione in acquired resistance in glycerol-induced acute renal failure"Nephrology. 5. 91-97 (2000)
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[Publications] Takeda M: "Cell culture Methods : Renal tubular cells. Laboratory Techniques in Renal cells and Molecular Biology"Karger. 4 (2000)
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[Publications] 武田理夫 他: "Annual Review腎臓2001:腎での薬物相互作用の分子機構"中外医学者. 3 (2001)