2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671050
|
Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白土 公 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70138238)
|
Keywords | 糸球体硬化 / 糸球体上皮細胞 / 蛋白分解酵素 / 細胞培養 / 成長因子 / ラット / マウス |
Research Abstract |
平成11年度の実験腎炎モデルの組織化学的検討から、cathepsin Lが糸球体上皮細胞の障害に関与する可能性が示唆された。そこで本年度は分化糸球体上皮細胞の培養系を用い、1)蛋白分解酵素と阻害因子の分化糸球体上皮細胞での存在と、2)糸球体障害に関連することが知られている増殖因子による同酵素および阻害物質の細胞外分泌への影響を検討した。 はじめに分化糸球体上皮細胞を、FCS等を含んだ通常の培養液で培養し、蛋白分解酵素やその阻害物質の存在と細胞外への分泌を検討した。組織化学的検討でcathepsin Lとmetalloproteinase、およびそれぞれの特異的阻害物質の存在が確認された。また培養液のwestern blottingで、少量の同酵素および阻害物質が分泌されていることが明らかになった。 次に糸球体障害に関連するbFGF、PDGF、TGFβの刺激による、蛋白分解酵素と阻害因子の細胞外への分泌に対する影響を検討した。それぞれの増殖因子の受容体の存在は、RT-PCR法で確認した。増殖因子の12時間刺激後の培養液のwestern blottingで、bFGFはcathepsin Lの、TGFβはmetalloproteinaseの細胞外への分泌を明らかに増加したが、PDGFは影響を示さなかった。一方、増殖因子の刺激で阻害物質の分泌は増加しなかった。 以上の結果から分化糸球体上皮細胞は増殖因子の刺激により、蛋白分解酵素の分泌を抑制因子を伴わずに増加する事が明らかになった。従って病的条件下では、糸球体上皮細胞から分泌された蛋白分解酵素が抑制因子によってコントロールされず、糸球体上皮細胞への障害や基底膜の分解を来し、結果として糸球体上皮細胞の剥離や基底膜の透過性亢進による蛋白尿を生じ、さらに糸球体のボウマン嚢への癒着から糸球体係締の硬化病変を生ずる可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Shirato I,Asanuma K,Takeda Y.Hayashi K,Tomino Y: "Protein gene product 9.5 is selectively localized in parietal epithelial cells of Bowman's capsule in the rat kidney "J Am Soc Nephrol. 11・12. 2381-2386 (2000)
-
[Publications] Takeda Y,Shirato I,Asanuma K,Hayashi K,Tomino T: "Expression of PGP 9.5 and podocyte-specific markers in glomeruli of Experimental crescentic glomerulonephritis"J Am Soc Nephrol. 11. 519A (2000)
-
[Publications] Asanuma K,Shirato I,Ishido K,Kominami E,Kobayashi N,: "Selective modulation of the secretion of proteinases by growth factors in cultured differentiated podocytes"J Am Soc Nephrol. 11. 503A (2000)