1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎不全における高レムナント、低HDL血症の解明-安定同位体を使った新しいアポ蛋白代謝研究法による検討
Project/Area Number |
11671054
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
池脇 克則 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40287199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 景子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10287211)
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Keywords | 腎不全 / 血液透析 / アポ蛋白 / 安定同位体 |
Research Abstract |
正脂血症の腎不全患者(HD)5名を対象にD3-Leucineを使ったアポ蛋白代謝実験を施行した.VLDL,IDL,LDLアポ蛋白B-100のtracer/tracee ratiosをmulticompartmental modelにあてはめ,代謝パラメーター(異化,産生速度)を算出した. 【table】 異化:fractional catabolic rate,day^<-1> 産生:synthetic rate,mg/kg-day アポ蛋白Bの異化は遅延しており,特にIDLにおいて著明であった.産生も同様に減少しており,異化の遅延を産生低下が相殺してそれぞれのリポ蛋白濃度が正常に保たれていた.これらの結果から,腎不全患者では脂質濃度が正常の状態からリポ蛋白代謝異常が存在することが明らかになった.高脂血症を合併したHD患者を対象にした過去の研究では,産生低下が消失し異化遅延だけが残っている点から,異化遅延がHD患者のリポ蛋白代謝異常の基盤であることが示唆される.ただし,放射性同位元素を使ったVLDL,IDLだけの代謝実験という点で過去の報告は不完全なものであるので,今後は高脂血症合併のHD患者を対象に同様の代謝実験を行い,さらにHD患者のリポ蛋白異常症の解明を進めたい.
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