2001 Fiscal Year Annual Research Report
同種腎移植における免疫寛容(トレランス)導入と移植臓器における免疫応答の特異性
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11671059
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
清水 章 日本医科大学, 医学部, 講師 (00256942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 正通 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40096954)
益田 幸成 日本医科大学, 医学部, 助手 (70173755)
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Keywords | 腎移植 / 免疫寛容 / 急性拒絶反応 / 慢性拒絶反応 / 傍尿細管毛細血管 / 間質線維化 |
Research Abstract |
免疫抑制剤の生命やQOLに関わる重篤な副作用の問題から、腎臓移植の分野においても免疫抑制剤の使用用量や使用法の検討が続けられている。私たちは、免疫抑制剤を長期に使用することなく移構臓器を生着させることを目的に、recipientにdonor特異的な免疫寛容を導入する方法やその機序、免疫寛容の導入が失敗に終わった場合の移植臓器の特徴について解析をしている。今年度は、実験動物を用いて行われた腎移植において、急速かつ安定した免疫寛容の導入が成し得なかった症例は、急性拒絶反応または慢性拒絶反応に陥り、移植腎は廃絶されることを明かにし、その過程の特徴を免疫学的に検討するとともに、移植腎の特徴を病理学的に検討した。免疫寛容の導入が全く成し得なかった症例は、移植腎内に早期から著しい炎症細胞浸潤や抗体の沈着が認められ、傍尿細管毛細血管炎、尿細管炎、糸球体炎、動脈内膜炎を伴う強烈な急性拒絶反応により移植腎は廃絶された。donorに対するcytotoxic T cellやdonor MHCに対する抗体が末梢血液中にも確認され、細胞性および液性の両免疫経路の活性化が認められた。免疫寛容は導入されるものの、急速かつ安定した導入が成し得なかった症例は、軽度から中等度の急性拒絶反応が持続し、次第に慢性拒絶反応へと進展した。免疫寛容の導入による腎移植において、免疫寛容の導入の速度と導入の程度が移植臓器の予後に大きく影響していることを示した。また慢性拒絶反応の進展過程を解析し、慢性拒絶反応の特徴の一つである問質の線維化には、免疫学的機序による傍尿細管毛細血管炎にともなう内皮細胞傷害や尿細管炎による尿細管上皮細胞傷害が大きく関わっていることを明かにした。移植腎において聞質の線維化は腎機能とよく相関する事から、傍尿細管毛細血管や尿細管を保護することが慢性拒絶反応の治療では大変重要であることを示した。
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[Publications] Shimizu A, Yamada K, Sachs DH, Colvin RB: "Mechanisms of chronic renal allograft rejection. I. Persistent rejection of peritubular capillaries and tubules is associated with progressive interstitial fibrosis"Kidney International. (in press).