1999 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β,そのシグナル伝達系Smadファミリーから見た糸球体障害
Project/Area Number |
11671062
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
佐々木 環 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30187124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
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Keywords | TGF-β / Smad / 糸球体上皮細胞 / 腹膜中皮細胞 |
Research Abstract |
TGF-β,そのシグナル伝達系Smadファミリーから見た糸球体障害 糸球体上皮細胞でのTGF-βとそのシグナル伝達系であるSmadの発現を、免疫組織学的に検討した。方法は、Wistar系ラットに、抗Thy1抗体によるメサンギウム細胞増殖モデル、Puromycin Aminonucleosideによる糸球体上皮細胞障害モデル、WKYラットに抗GBM抗体による半月体形成モデルを作成し、様々な傷害像が観察される時期に腎臓を摘出した。TGF-β1、β2、β3のisoformと、Smad2/3、Smad4、Smad6、Smad7の抗体を用いて、免疫組織学的に検討した。何れの組織型の糸球体傷害においても、糸球体上皮細胞の細胞質にTGF-β1は不変であるが、β2、β3の発現増強が観察された。また、何れのSmadも細胞質内や核内に存在が観察された(正常糸球体内では、Smad4のみ発現が観察される)。したがって、何れの組織病型においても、糸球体上皮細胞にTGF-β2、β3と、そのシグナル伝達型のSmadの発現が観察され、共通の生理的な発現意義(細胞増殖促進・抑制や細胞外基質産生等)が存在すると推測される。 TGF-β,そのシグナル伝達系Smadファミリーから見た腹膜中皮細胞障害 ラット腹膜から中皮細胞を単離し培養腹膜中皮細胞を得た。この培養腹膜中皮細胞に、TGF-β1を培養液中に添加し(10pg/ml、100pg/ml、200pg/ml)、48時間後に細胞数を測定した。次にTGF-βのシグナル伝達系のSmad2とSmad4の遺伝子を細胞に導入し、導入48時間後に細胞数を、同様に計算した。TGF-β1は用量依存性に培養腹膜中皮細胞の増殖を抑制した。TGF-β1のシグナル伝達系であるSmad2あるいはSmad4を導入した培養腹膜中皮細胞は、コントロールに比較して細胞増殖作用が観察された。TGF-βでは同じリガンド刺激においても、生理作用の異なる現象が知られており、TGF-βによる腹膜硬化防止確立の重要な情報と考える。
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