1999 Fiscal Year Annual Research Report
サーファクタント蛋白B欠損マウスの高濃度酸素負荷での病態解析と治療法に関する研究
Project/Area Number |
11671074
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
時枝 啓介 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20227565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 清二 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80146638)
池田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00193194)
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Keywords | サーファクタント蛋白B / SP-B / 肺サーファクタント / 高濃度酸素 / 肺胞蛋白透過性 / リン脂質 / 肺機能障害 |
Research Abstract |
サーファクタント蛋白B(SP-B)欠損ヘテロ接合体(SP-B+/-)マウスを高濃度酸素環境下に留置し、その肺機能を評価した。SP-B+/-マウスは、野生型(SP-B+/+)マウスに比べ有意に高い死亡率、呼吸機能の低下、重度の肺組織障害、肺胞への異常な血漿蛋白の漏出を呈した。SP-B+/-マウスの肺サーファクタントの構成成分では、SP-Bが野生型の半分である以外、他のサーファクタント蛋白やリン脂質の量・割合に差がないことから、SP-B+/-マウスの高濃度酸素に対する罹患率の高さはSP-Bの不足に起因すると推測された。 南カリフォルニア大学のBaatz教授より供与を受けたSP-B(ウシ肺胞洗浄液より精製)を用いて治療用(1)2mol%SP-B混合液、(2)脂質混合液の作成を行った。SP-B+/マウスにあらかじめ(1)あるいは(2)を気管内投与後、高濃度酸素に暴露し肺機能を評価した。生化学的特徴として、SP-B混合液は、脂質混合液に比べ有意に高い表面活性を有していた。脂質混合液投与SP-B+/-マウスは、無投与SP-B+/-マウスに比べ肺機能の改善効果は認められなかった。SP-B混合液投与SP-B+/-マウスは、無投与SP-B+/-マウスに比ベ、有意に高い生存率、呼吸機能の回復、軽度の組織障害、肺胞への血漿蛋白漏出の抑制効果が認められた。なお、SP-B混合液投与に起因すると考えられる明らかな副作用は認めなかった。 今回の検討でSP-Bに高濃度酸素に対する生体の防御効果があることが判明した。この効果は、SP-Bの肺胞内容量依存性であり、対外からの補充効果もあることが示唆された。臨床上SP-Bの不足すると考えられる肺疾患でのSP-B補充療法への展望が開かれる成果と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Keisuke Tokieda: "Surfactant protein B corrects oxygen-induced pulmonary dysfunction in heterozygous surfactant protein B -deficient mice"Pediatric Research. 46(6). 708-714 (1999)
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[Publications] Keisuke Tokieda: "Surfactant protein-B-deficient mice are susceptible to hyperoxic lung injury"American Journal of Respiratory Cell Molecular Biology. 21(4). 463-472 (1999)