2000 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸処理マウス胚における心房の左右形態形成に関する遺伝子発現-静脈洞領における遺伝子発現と心形態形成-
Project/Area Number |
11671077
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
安井 寛 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60210241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 誠 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10075567)
|
Keywords | レチノイン酸 / 心奇形 / マウス |
Research Abstract |
レチノイン酸で誘発される臓器心房錯位症候群に合併する心形態異常の形成過程を観察し、その成因を探ることを目的として、妊娠6.5日目Jcl:ICRマウスに全トランスレチノイン酸15mg/kg B.W.を腹腔内投与し、胎生9.5日目から15.5日目まで24時間おきに取り出し、潅流固定後、実体顕微鏡、走査電顕にて形態を観察した。レチノイン酸によって誘発される臓器心房錯位症候群は、右側相同がほとんどであった。心形態形成では、不完全なループ("a"-loop)、AV cushion dysplasia、胎生13日目以降での一側心室低形成が特徴的であった。特にループ異常が臓器心房錯位症候群における心流入路・心室形態異常の発生上重要であると考えられる。胎生10日目以降で、肺分葉、胃・肝の形態、静脈洞-心房接合部の形態により、各臓器のsitusの区別が可能であった。本研究では、静脈洞-心房接合部の形態で分類した。胎生10日目から15日目までの胎仔総数251例中、正位143例(57%)、逆位14例(6%)、右側相同88例(35%)、左側相同6例(2%)であった。心ループは、不完全性(原始右心室が上方偏位する、いわゆる"a"-loop)を呈する傾向が強かった。しかし、殆どの例で、ループ回転の向き(胎生9日目)または筋性心室中隔の位置(胎生10日目以降)により、本来のループ(primary loop)が右(primary d-loop)か左(primary l-loop)かの判断が可能であった。本系では、AV cushion dysplasiaを呈する傾向が強く、特に右側相同例では、その半数で、特徴的な三分葉を示した。AV cushion dysplasiaの例は、ほぼ全例"a"-loopを示し、右側相同では双方とも高度であった。
|