1999 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞由来マトリックス蛋白アディポネクチンの抗動脈硬化作用とその分子機構の解明
Project/Area Number |
11671086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 進士 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60243234)
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Keywords | 脂肪細胞 / アディポネクチン / 冠動脈疾患 / 糖尿病 / 動脈硬化 / 接着分子 / 血管内皮細胞 / TNF-α |
Research Abstract |
私達が新たに発見した脂肪細胞由来のマトリックス蛋白であるアディポネクチンは、その血中濃度が、肥満者や冠動脈疾患患者で低値を示すことを、さらに多数例で確認した。その検討のなかで、2型糖尿病患者においても、健常者に比較し低値を示すことを新たに明らかにした。今後は、検診受診者を対象として、血中アディポネクチン濃度の測定が、冠動脈疾患や糖尿病疾患患者の検出のためのスクリーニングテストとしての意義を有するかどうかをさらに検討する予定である。 また、アディポネクチンの生理的意義を明らかにする目的で、ラット頚動脈バルーン擦過モデルを用いた、組織学的検討を行った。その結果、擦過の数時間後の超急性期に傷害血管内皮下に本蛋白が集積し、その後速やかに消退することが明らかとなり、動脈硬化初期病変の形成に影響することが示唆された(Horm Metab Res 2000 in press)。さらに、動脈硬化形成の初期過程として、傷害血管内皮細胞における単球接着に関与する接着分子(ICAM-1、VCAM-1)の発現増加は最も重要なメカニズムの一つと考えられているが、その際、TNF-α等の炎症性サイトカインが制御因子として大きな役割を担っている。アディポネクチンは、このTNF-α刺激による接着分子の発現をNFκB制御を介して抑制するメカニズムを明らかにし(Circulation 1999)、本蛋白の持つ、抗動脈硬化作用の分子機構の一つを解明した。今後、さらに、アディポネクチンの抗動脈硬化作用メカニズムとして、血管平滑筋細胞増殖抑制過程の分子メカニズムを検討する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Okamoto Y.,Kihara S.et al.: "An adipocyte-derived plasma protein, adiponectin, adheres to injured vascular walls"Horm. Metab. Res.. (in press). (2000)
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[Publications] Hotta K.,Nakamura T.,Funahashi T.et al.: "Mutation in bombesin receptor subtype-3 gene is not a major cause of obesity in the Japanese"Horm. Metab. Res.. (in press). (2000)
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[Publications] Takahashi M.,Funahashi T.et al.: "Genomic structure and mutations in adipose-specific gene, adiponectin"Int. J. Obes.. (in press). (2000)
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[Publications] Ouchi N.,Kihara S.,Nakamura T.,Funahashi T.et al.: "Novel modulator for endotherial adhesion molecules: adipocyte-derived plasma protein, adiponectin"Circulation. 100(25). 2473-2476 (1999)
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[Publications] Arita Y.,Kihara S.,Nakamura T.,Funahashi T.et al.: "Paradoxical decrease of an adipose-specific protein, adiponectin, in obesity"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 257(1). 79-83 (1999)