2000 Fiscal Year Annual Research Report
水代謝恒常性維持の分子機構:視床下部と腎の統合的検討
Project/Area Number |
11671096
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
齊藤 寿一 自治医科大学, 医学部, 教授 (10048994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 孝子 自治医科大学, 医学部, 助手 (90296103)
本多 一文 自治医科大学, 医学部, 講師 (00260828)
石川 三衛 自治医科大学, 医学部, 助教授 (70112620)
六角 久美子 自治医科大学, 医学部, 助手 (20296122)
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Keywords | バゾプレシン / 浸透圧刺激 / 循環血液量 / Fos / アクアポリン2 / 水過剰状態 / 尿濃縮力 |
Research Abstract |
平成12年度は平成11年度に引き続き、水代謝を調節するバゾプレシン(AVP)について、視床下部における合成・分泌と腎における作用の両面からラットで検討した。ラットにおいてパラアルデヒド固定後に視床下部の視索上核(SON)、室傍核(PVN)および血管終板器官(OVLT)で神経細胞活動の生理学的指標であるFos活性を検討した。高張食塩水:静注による浸透圧刺激はPVNとSONのFos活性発現を増強したが、これに先立つ10分前または24時間前に出血により循環血液量を減少させておくと、Fos活性発現は何れの場合にも更に増幅されることが明らかとなった。一方、OVLTでは浸透圧刺激が同様にFos活性を増強したが、SONやPVNとは異なり先行する循環血液量減少は浸透圧刺激によるFos発現を増幅しなかった。循環血液量の変動は浸透圧刺激によるAVPの放出に影響するもののその影響はAVP産生細胞自体の活動変容に由来し、浸透圧感受性機能を果たしているOVLTにはないことが示唆された。血中に放出されたAVPは腎乳頭部集合尿細管でAVP感受性水チャネル(アクアポリン2、AQP2)の産生促進を介して抗利尿作用を発揮する。ラットにおいて抗利尿作動剤のAVP類似体、デスモプレシン(DDAVP)と水を連続負荷した水過剰状態では尿濃縮力低下を来すAVP作用低下が出現する。このAVP作用低下、即ちAVPエスケープの機序の詳細を検討すると、水過剰状態でもScatchard解析で検討したAVPのV_2受容体結合には変化がなく、またV_2受容体mRNAの発現にも変化は見られなかった。一方、AQP2については水過剰状態でNothern blotで解析したmRNAおよびWestern blotで解析した蛋白の何れもが減少した。生体の水分状態による尿濃縮力変動をもたらす腎のAVP感受性修飾は、AQP2の合成変容に由来していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Saito Takako: "Vasopressin-dependent upregulation of aquaporin-2 gene expression in glucocorticoid-deficient rat."Am.J.Physiol.. 279・3. F502-F508 (2000)
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[Publications] Saito Takako: "Diagnostic value of urinary excretion of aquaporin-2 in water metabolism disorders."Recent Res Devel Endocrinol.. 1. 177-184 (2000)
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[Publications] 斉藤寿一: "尿崩症の分子メカニズメ"現代医療. 32・7. 1643-1648 (2000)
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[Publications] 斉藤寿一: "バソプレシン"日本臨床. 58・増刊. 442-446 (2000)
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[Publications] 斉藤寿一: "尿中アクアポリン2測定の診断的意義"Medical Practice. 17・8. 1412-1413 (2000)
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[Publications] 斉藤寿一: "下垂体炎の病態と治療"内分泌・糖尿病科. 11・6. 534-540 (2000)