2001 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性血管壁細胞におけるプロテインキナーゼC活性とギャップ接合機能異常
Project/Area Number |
11671126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井口 登與志 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (00294926)
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Keywords | 糖尿病 / 血管合併症 / プロテインキナーゼC / ギャップ接合 / インスリン抵抗性 / 脂肪酸 / コネクシン / 興奮伝導 |
Research Abstract |
これまでの研究において、培養血管壁細胞の系や糖尿病ラットモデルを用いた検討により、糖尿病血管壁におけるPKC活性の亢進にもとずくギャップ接合蛋白コネクシン43の燐酸化亢進とそれによって惹起されるギャップ接合機能の低下を明らかにした。 また、ギャップ接合機能の低下により糖尿病ラット心筋における伝導障害がおこることを明らかにした。このモデルの系を用いて、PKCβ阻害薬の効果を検討した。PKCβ阻害薬は、糖尿病心筋におけるコネクシン43の燐酸化亢進を改善すると同時に伝導障害を改善した。また、ギャップ接合を化活性化することが知られているイルソグラジン投与でも、伝導障害が改善することを明らかにした。 以上より、培養系のみならず、in vivoの検討でも、糖尿病心血管壁細胞では、PKC特にβアイソフォームの活性化を介してギャップ接合機能の低下を認め、細胞間コミュニケーションの障害を認めることを明らかにした。現在、このような細胞間コミュニケーションの低下が、心筋伝導障害以外にもどのような機能異常をもたらすか検討中である。 また、高血糖のみならずインスリン抵抗性状態や肥満において増加する脂肪酸が血管壁細胞のジアシルグリセロール(DAG)を増加させ、PKCを活性化することを明らかにした。また、脂肪酸の種類により効果の相違があること、すなわち長鎖飽和脂肪酸に強い効果を認め、一方、抗動脈硬化作用が知られているエイコサペンタエン酸(EPA)では逆にその抑制効果を認める興味ある成績を得ている。現在、インスリン抵抗性モデルZucker肥満モデルを用いてギャップ接合機能にもたらす効果を検討中である。
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[Publications] Yu HY, T.Inoguchi, M.Kakimoto, et al.: "Saturated non-esterified fatty acids stimulate de novo diacylglycerol synthesis and protein kinase c activity in cultured aortic smooth muscle cells"Diabetologia. 44. 614-620 (2001)
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[Publications] 井口登与志, 國崎真, 梅田文夫, 名和田新: "糖尿病性合併症とプロテインキナーゼCβ阻害薬"Annual Review 内分泌、代謝. 18-22 (2001)
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[Publications] T.Inoguchi, HY Yu, M.Imamura, et al.: "Altered gap junction activity in cardiovascular tissues in diabetes"Med Electron Microsc. 34. 86-91 (2001)
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[Publications] M.Kakimoto, T.Inoguchi, T.Sonta, et al.: "Accumulation of 8-hydroxy-deoxyguanosine and mitochondrial DNA Deletion in kidney of diabetic rats"Diabetes. (in press). (2002)