1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト異種反応性自然抗体産生B細胞を用いた異種移植における免疫寛容誘導の試み
Project/Area Number |
11671143
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
里見 進 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00154120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤盛 啓成 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50238622)
大河内 信弘 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40213673)
土井 秀之 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90188839)
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Keywords | αGal抗原 / サイログロブリン / 免疫抑制剤 / IgMI / IgD / IgG / CD5 |
Research Abstract |
平成11年度はαGal抗原を多く発現しているブタのサイログロブリンをbeadsに付着させ,異種抗原に特異的な抗体を産生する B細胞を選択的に採取し、そのcharactarizationを引き続き検討した。更にinvitroの系でそれらの細胞を用いて抗体産生能を調べ、低濃度の抗原刺激後に、B細胞に感受性のある免疫抑制剤を加えることで抗体産生が抑制できるかを検討することとした。charactarizationの検討では、従来異種抗原反応B細胞が多いと言われていた脾臓以外にも末梢血や扁桃に同等に存在することが分かった。また産生される抗体はIgMI、IgDが主でIgGは少なく、CD5に関しては従来の報告に反して表現型が多くないこと,他の末梢血B細胞と比較してCD45RAを多く発現し、CD45Oは逆に発現していないことが明らかになった。これらの検討結果からは異種抗原に対する抗体産生細胞は成熟型のB細胞よりは、nativeな細胞が主体をなすといえる。in vitroの系ではplaque―forming cell assayにて分離したB細胞が抗体を産生することは確認できたが、培養系ではviabilityが損なわれ産生は極端に減少した。これは抗原刺激としてαGal抗原自体を加えても、ブタの内皮細胞を刺激細胞として用いても変わらなかった。そこでB細胞にアデノウイルスを感染させ抗体を産生させる系を用いた。ウイルス感染後の抗体はαGal抗原に特異的に結合し、ブタの内皮細胞に補体と同時に加えると殺細胞効果を発揮した。ウイルス感染B細胞に低濃度のαGal抗原を加えて抗体産生量に変化が見られるか、つまり何らかの抑制効果があるかを検討したが、抑制はかからなかった。これはウイルス感染細胞がすでに自立的な抗体産生を行っている結果と考えられた。今後は分離した抗体産生細胞をinvitroで効果的に抗体産生させる方法を考案し、低濃度抗原刺激下での特異的免疫寛容誘導の実験を行う必要がある。
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