1999 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝における虚血再潅流障害の克服(apoptosisの発現、誘導、制御の試み)
Project/Area Number |
11671156
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川辺 昭浩 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00291401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 英俊 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (20273196)
吉田 雅行 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10201013)
|
Keywords | 脂肪肝 / 虚血再灌流障害 / apoptosis(アポトーシス) |
Research Abstract |
肝臓は虚血後、再潅流時に肝細胞障害をおこすことは多くの報告があり、肝移植において虚血再潅流障害によりprimary nonfunctionをおこす症例があることが報告されている。また、脂肪肝を移植すると正常肝に比べ高率にprimary nonfunctionを発症するといわれており、donorから脂肪肝を除外する施設が多い。最近、細胞死の一形態であるapoptosisが注目されており、肝においても虚血再潅流後にapoptosisが発現することが報告されている。今回、脂肪肝と正常肝における虚血再潅流後のapoptosisの発現の相違と、虚血再潅流障害におけるapoptosisの関与について検討した。 体重250-300gのDAラットを使用し、脂肪肝はコリン欠乏食を4-6週間摂取させ作製した。虚血時に腸管のうっ血を防止するために全例に脾臓皮下固着術を施行し、虚血は肝動脈と門脈を60分間クランプした。正常肝ラットと脂肪肝ラットの虚血前、再潅流直後、1時間後、3時間後、6時間後の血液と肝組織を採取した。血液はGOTとGPTを測定し、肝組織から1)DNAアガロース電気泳動、2)in situ nick-end labeling法(TUNEL法)、3)flow cytometryを使用しapoptosisの発現を比較検討した。 GOT、GPTは、正常肝、脂肪肝とも再潅流直後が最も高値となり、その後徐々に低下したが、それぞれの群で有意差はなかった。 apoptosisは、DNAアガロース電気泳動ではいずれの群でもladderの形成は認められなかった。TUNEL法では、正常肝、脂肪肝とも虚血前、再潅流直後までapoptosisの発現はなく、再潅流1時間後で出現し、3時間後でピークとなり、6時間後では減少していた。脂肪肝は正常肝より全体的にapoptosisの発現は多かった。また、flow cytometryもTUNEL法とほぼ同様の結果が得られた。 正常肝、脂肪肝とも再潅流後3時間にapoptosisが最も誘導されており、脂肪肝は正常肝より発現量は多く、虚血再潅流障害におけるapoptosisの関与が示唆された。
|