1999 Fiscal Year Annual Research Report
うっ血性心不全に対する心筋細胞移植治療に関する研究
Project/Area Number |
11671158
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 正始 京都大学, 医学研究科, 教授 (20303810)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 正俊 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50190046)
西村 和修 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70252450)
|
Keywords | 虚血性心筋症 / 細胞移植 / 慢性心不全 |
Research Abstract |
【背景】深刻な重症心不全に対し、現時点では心臓移植が唯一の治療法であるがドナー心不足が問題である。今回、臓器ドナーの不要な心筋細胞移植の効果を検討した. 【方法】同種同系ルイスラットを麻酔下に左前下行枝を結紮し,虚血性心筋症ラットを作製した(n=21)。4週間後に心エコー(12MHzプローベ)にて心筋梗塞サイズ及び心機能を測定し,非手術対照群(C群:n=10)と比較した。手術施行群を無作為に2群に分け,胎児心筋より単離培養した心筋細胞6×106個を梗塞巣中央に注入した群を細胞移植群(TX群:n=11)とし,同様に培養液のみを注入した群をsham群(S群:n=10)とし,さらに4週間後に心エコー及びミラーカテーテルを用いてin vivoにおける心機能を測定した。 【結果】左前下行枝結紮4週間後の心エコーでは左室拡張末期径(LVDd:mm)は9.8±2.0と拡大を認め(vs C群7.8±0.38,p<0.01),壁運動(FS:%)は20.6±5.5と低下した(vs C群56.9±4.4,p<0.01)。移植4週間後,TX群においてはFSの有意な改善を認めた(pre22.4±5.4 vs post29.1±,p<0.01)が,LVDd及び梗塞サイズに有意な変化はなかった。S群においてはFS,LVDd共に有意な変化は認めなかった。LVEmax(mmHg/μ1)はTX群では有意に高値を示したが(S群:0.13±0.04,TX群0.26±0.10,p<0.01),C群(1.8±0.90)に比べると低値であり,また拡張機能を表すTAUでは有意差を認めなかった。 【考察】胎児心筋より単離培養した心筋細胞を慢性虚血性心筋症ラットに移植し,心収縮機能の軽度の改善を認めた。しかし,左室拡大は不変で,拡張機能の改善も認められなかった。今後より効果的な細胞移植の研究が必要であると思われる。
|