2000 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍ミトコンドリア電位差を利用した新たな抗腫瘍物質の開発
Project/Area Number |
11671182
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保田 哲朗 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00118944)
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Keywords | ミトコンドリア / lodacyanine / 脱分極 / 腸イオン / 抗腫瘍性 |
Research Abstract |
lodacyanine化合物のin vitro抗腫瘍効果をMTT assayにより検討した。 1.lodacyanine化合物MKT-077はヒト大腸癌細胞株C1に対して24〜96時間の接触時間において濃度依存性の抗腫瘍効果を示し,同一濃度における殺細胞性は時間依存性であった。本剤のin vitro抗腫瘍効果は,濃度×時間に依存することが示された。C1については72時間接触において4.2μg/mlと妥当なIC_<50>が得られたため,他の培養ヒト癌細胞については培養時間を72時間としてIC_<50>を算出した。MKN45,MKN74(胃癌株),Colo205,WiDr,C1,HT29,LS174T(大腸癌株), CRL1420(膵癌株)のIC_<50>は1.7〜14.3μg/mlに分布しており,平均±標準偏差値は8.4±4.6μg/mlであった。 2.新鮮手術材料としては胃癌患者の手術切除標本の一部を用い,胃全摘術,脾臓合併切除で得られた脾細胞も対象として用いた。MKT-077のヒト脾細胞に対するIC_<50>は0.34〜>100μg/mlに分布し,IC_<50>の平均±標準偏差は66.5±37.7μg/mlであった。一方,新鮮胃癌細胞を対象とした時のIC_<50>は0.16〜63.0%に分布し平均±標準偏差は35.6±17.3%であった。同一患者から採取された胃癌細胞および脾細胞に対するMKT-077の濃度依存的抗腫瘍効果を示した検討では,本剤は腫瘍細胞に対し明らかな濃度依存的な抗腫瘍効果を示したが,脾細胞に対しては有意な細胞障害性は示さなかった。MKT-077のIR_<30>は,胃癌細胞においては50.3±17.7%,脾細胞においては35.6±17.3%であり,両群の間には推計学的に有意な差が認められた(p<0.05,χ^2検定)
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Research Products
(1 results)