2001 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍ミトコンドリア電位差を利用した新たな抗腫瘍物質の開発
Project/Area Number |
11671182
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保田 哲朗 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00118944)
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Keywords | ミトコンドリア / lodacyanine / 脱分極 / 陽イオン / 抗腫瘍性 |
Research Abstract |
ヌードマウス可移植性ヒト癌株に対するMKT-077の抗腫瘍効果と副作用について検討した.6〜8週齢,体重20〜22gのBALB/cAヌードマウスを用い,腫瘍は胃癌株1株(St-4),大腸癌株3株(Co-4,HT29,LS174T)膵癌株1株(CRL1420)を対象とした.エーテル麻酔下のヌードマウスの両側背部皮下に,套管針を用いて3×3×3mm大の腫瘍片を移植し,腫瘍が対数増殖に入った時点で治療を開始した.ヒト大腸癌株Co-4におけるMKT-077の抗腫瘍効果では,MKT-077の7.5mg/kg/日が,14日間腹腔内に投与された群においては対照群と同様な腫瘍増殖が示されたのに対し,浸透圧マイクロポンプ(Alzet社)を用いて同量が持続皮下投与された群では相対平均腫瘍重量T/C値の最小値が59.0%と境界的な抗腫瘍効果が認められた.この結果から,MKT-077の同等量投与においては持続投与の方が間欠的投与よりも抗腫瘍効果が高いと考えられた.また本投与量による毒性は軽微であり,マウスの体重減少や死亡が認められなかったため,HT29,LS174T,CRL1420,St-4 Co-4の5株を対象として,浸透圧マイクロポンプを用いた20mg/kg/day7日間の持続皮下投与を行った.CRL1420,St-4 Co-4の3株については実験期間中の相対平均腫瘍重量T/C値の最小値が42%以下となり有効と判定された.本投与量におけるマウスの衰弱死亡は認められず,体重減少率も20%以下であり,本投与法における最大耐容量と考えられた.HT29に対しては40mg/kg,LST174Tに対しては30mg/kgの浸透圧マイクロポンプを用いた連日投与が行われたが,脾重量の有意な減少やマウスの衰弱死亡が認められ,本投与方法による最大耐容量は20mg/kg/day7日間の持続皮下投与であることが確認された.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 久保田哲朗: "胃癌の手術療法とその成績"診断と治療. 90(3). 439-444 (2002)
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[Publications] 久保田哲朗: "抗癌剤感受性試験-細胞生物学的手法と分子生物学的手法-"慶應医学. 79(1). 11-15 (2002)
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[Publications] 久保田哲朗: "抗癌剤感受性テスト8臨床試験)-Pro-"血液・免疫・腫瘍. 7(1). 95-98 (2002)
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[Publications] 久保田哲朗: "抗癌剤感受性試験"日本化学療法学会雑誌. 49(11). 628-632 (2001)