2000 Fiscal Year Annual Research Report
GLP-2の腸管粘膜増殖効果を用いたクローン病治療の新しい展開
Project/Area Number |
11671203
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内藤 広郎 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90180223)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 浩平 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20271900)
舟山 裕士 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50192315)
佐々木 巌 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125557)
矢内原 昇 矢内原研究所, 主任研究員(研究職)
|
Keywords | GLP-2 / 小腸粘膜増殖 / ODC活性 / IEC-6 |
Research Abstract |
高腸管グルカゴン血症モデルであるラットIJTにおける血中GLP-2の分泌動態と小腸粘膜の組織学的変化の検討、および正常ラットに対する3種類の腸管グルカゴン(glicentin,GLP-1,GLP-2)の外因性投与による検討から以下の成績を得た。1.)ラットIJTモデルにおいてGLP-2分泌は有意に亢進すること、および従来の報告通り空腸および回腸の粘膜絨毛高が増加することを確認した。2)ラットIJTモデルの血中GLP-2濃度を再現できるように正常ラットにGLP-2を投与した結果、空腸および回腸粘膜のODC活性が有意に増加した。3.)ラットIJTモデルの血中GLP-2濃度より高濃度の培養液濃度において、ラット空腸陰窩細胞由来の細胞株であるIEC-6のODC活性および^3H-thymidine取込み量が有意に増加した。4)GLP-2と同じモル濃度のglicentinを投与した場合はin vivo、in vitroのいずれにおいてもGLP-2投与の場合とほぼ同様の反応が見られたが、GLP-2投与よりはその反応は軽度であった。5)GLP-1投与は小腸粘膜ODC活性およびIEC-6のODC活性と^3H-thymidine取込み量に影響を及ぼさなかった。以上の成績から、腸管グルカゴンの中ではGLP-2が最も強い小腸粘膜増殖刺激効果を有し、ラットIJTモデルで認められる小腸粘膜増殖効果の少なくとも一部は腸管グルカゴンのうちでも主にGLP-2の作用により発現していることが示唆された。これらの結果からGLP-2を用いた新しいクローン病治療の可能性が明らかとなった。
|