1999 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除後におけるタイト結合機能と肝実質細胞のエンドトキシン処理能の変化
Project/Area Number |
11671206
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 勤 秋田大学, 医学部, 助手 (90235367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 研二 秋田大学, 医学部, 教授 (80004638)
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Keywords | タイト結合 / 肝再生 / 門脈圧 |
Research Abstract |
肝切除後の細胞接着装置(タイト結合)の変化ならびに門脈血流とshear stressが細胞間接着装置に及ぼす影響などについてラットを用いて検討した。 【方法】体重200gのSDラットに70%肝切除を行い、門脈圧と血流量の異なる以下の3群を作成した。I群:通常の肝切除群(対照)。II群:門脈減圧群。脾臓皮下固着3週後に肝切除(門脈圧が対照より平均15%低下)。III群:プロスタグランディンE_1投与群。切除直後からPGE_1を0.05μg/kg/min静脈内投与(門脈血流は平均20%増加、門脈圧は不変)。各群について、経時的に肝組織血流をレーザードップラー血流計で、肝再生能をBrdU染色で、肝類洞壁細胞と肝細胞間接着装置の超微形態を電顕で観察した。 【成績】上記の3群間での肝1gあたりの組織血流は、III群で高く(I,II群の10%増)、I群、II群では差がなかった。門脈血管抵抗は、I群、II群、III群の順に高かった。肝再生能は2〜3日目にIII群で最も高くBrdU標識率は5%に達し、I群、II群の順であった。切除48時間後の透過電顕所見は、I群では類洞内皮細胞の腫大、類洞腔への突出が散見された。II群、III群ではこれらの所見はなく、特にIII群では類洞腔が拡張し、微小循環が保たれていた。凍結割断レプリカ法によるタイト結合の電顕的観察では、I群では切除後7日目までストランド数の減少を認め、タイト結合の機能低下が示唆された。II群もI群と同様であったが、III群では正常であった。すなわち、門脈血流を増加させるがshear stressを増加させないPGE_1は、タイト結合の構造を保つものと考えられた。しかし、門脈減圧のみでは、タイト結合の構造的機能的変化に及ぼす影響は少ないものと考えられた。
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