2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除後におけるタイト結合機能と肝実質細胞のエンドトキシン処理能の変化
Project/Area Number |
11671206
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 勤 秋田大学, 医学部, 講師 (90235367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 研二 秋田大学, 医学部, 教授 (80004638)
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Keywords | shear stress / portal venous pressure / prostaglandin E_1 / tight junction / liver resection |
Research Abstract |
前年度までの研究で、(1)肝切除後早期にタイト結合のストランド数が減少し、タイト結合機能低下が示唆される、(2)類洞のshear stressは肝切除後増加するが、門脈減圧のみではタイト結合の構造的機能的変化に影響は少ない、(3)門脈血流を増加させるがshear stressを増加させないPGE_1は肝切除後のタイト結合の構造を保つことを明らかにした。この結果から、肝切除後肝障害を軽減させるのに切除後のshear stress増加を防ぐことは有効と考えられ、今年度は、(1)予め門脈塞栓し切除後の門脈圧上昇を防ぐ。この目的での塞栓から切除までの至適期間をブタで検討する。(2)広範肝切除後に上腸間膜動脈(SMA)または肝動脈からPGE_1を投与し、shear stressを増加させずに門脈血流・肝再生因子を増加させ、肝機能の早期回復を図る(ブタ実験と臨床で検討)。 実験成績は、まず門脈圧は、門脈塞栓直後に80%増加したが、7日後には20%上昇のレベルまで下降し、その後の肝切除で門脈圧は上昇しなかった。7日後は肝細胞増殖がなお盛んな時期であるが、門脈圧の観点から肝切除時期として妥当と考えられた。次に0.01または0.1μg/kg/minのPGE_1をSMAから投与すると、門脈血流は30%〜56%上昇したが門脈圧は上昇しなかった。これにより、ブタ70%肝切除後における術後AST上昇が抑制され、類洞内皮細胞障害の指標であるヒアルロン酸上昇も抑制された。一方血中エンドトキシンはPGE_1投与による影響はなかった。また、肝不全の危険が高い患者で術後PGE_1をSMAから投与し、門脈血流増大、肝静脈酸素飽和度増加を認めた。以上から、肝切除後のshear stress増加を防ぐことは有効で、術前門脈塞栓と術後PGE_1SMA投与は有用と考えられた。
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[Publications] Sato T, et al.: "Efficacy of hepatic arterial infusion of prostaglandin E_1 in the treatment of postoperative acute liver fallure"Hepatogastroenterology. 47. 846-850 (2000)
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[Publications] Sato T, et al.: "Continuous infusion of prostaglandin E_1 via the superior mesenteric artery can prevent hepatic injury through passive portal oxygenation in hepatic artery interruption"Liver. 20. 179-183 (2000)
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[Publications] Sato T, et al.: "Alteration of portal blood by continuous PGE_1 infusion via the superior mesenteric artery after hepatic artery interruption"Surgical Forum. 50. 1-2 (1999)
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[Publications] Sato T, et al.: "Prostaglandin E_1 continuous hepatic arterial infusion in the treatment of postoperative acute liver failure"Digestive Surgery. 17. 234-240 (2000)